ここはワケありの前科者が集う場で、それぞれの過去と今もなお続く苦しみが交錯している。彼らが白眼視される現状を見て、貴生は徐々に罪の重さと厳しい現実を知ることになる。

 罪の意識も反省の欠片もなかった貴生の姿は、逆に「いつ犯罪に巻き込まれ日常を失うかもわからない」怖さを見せつけた。思い通りにならずとも平々凡々安穏に暮らしていた日々がどれだけ尊いものか。己の浅はかさを噛みしめる主役に、星野源はぴったりだった。以上が、星野源の「巻き込まれ三部作」(薬物山盛り)である。

リストラ・無職つながり

 さらにつなげるよ。『プラージュ』で解雇・無職となった星野源だが、もうひとつ忘れちゃならないリストラモノが『11人もいる!』(2011年・テレ朝)だ。

 大家族ホームコメディで、父(田辺誠一)と母(光浦靖子)と8人の子供(神木隆之介に有村架純、加藤清史郎ら)で真田家は計10人なのだが、前妻の霊(広末涼子)も同居して11人いる、という物語。星野の役どころは田辺の実弟。10年勤めた会社の社長(佐藤二朗)が借金をして逃亡、なぜか自分だけが借金とりに追われて自殺未遂まで経験。

 解雇され無職となり、真田家に居候している。マイナス思考で辛気臭く、作る笑顔は微妙に嘘くさいというコミカルさは、大人計画で鍛えたコメディ筋肉でお手の物。物干し場でギター片手に歌う姿は『寺内貫太郎一家』オマージュだが、西城秀樹ほどかっこつけさせてはもらえない。一家からは関心をもたれず敬意も払われず、影が薄い。「影の薄さはある意味天賦の才能」と思わせた。

 そんな星野源だが、いつまでも影が薄い童貞の陰キャで、濃ゆい人々に巻き込まれて死にかけてはいられなくなってきた。人気者の宿命だが、「え? ヤダ、ちょっとカッコイイ!?」という役も増えてきちゃったからだ。

 

くすぶってこじらせている役をずーっと演じてほしいんだけど

 まずは、産婦人科医療の厳しい現実を描いた『コウノドリ』(2015年・2017年、TBS)だ。

2021.06.21(月)
文=吉田 潮