普段スーパーに並んでいる野菜やフルーツに模様を刻んだり彫ったりすることで、たちまち食材を華やかに彩ることができる「カービング」。

 そんな「カービング」、繊細な模様を彫らなくてはいけないし、不器用な人には難しそう……なんてイメージを持っていませんか? 実は今、初心者でも意外と簡単に始められると、「カービング」を新たな趣味として楽しんでいる方が増えているんですよ。

 そこで今回は、コロナ禍で退屈なお家時間を豊かなものにしたいという方々のために、初心者でも始められる「カービング」の魅力をご紹介。

 Voice Carving Academy 日本代表を務め、カービング教室 Seasons’主宰の山口三紀子さんに、「カービング」の魅力を伺うとともに、初心者でも簡単に彫ることができる作品を紹介していただきました。

「彫って、見て、食べる」…語るカービングの魅力

――まず山口さんが思うカービングの魅力をお教えください。

 1本のナイフで何でもできることですかね。ナイフ1本で野菜にも、フルーツにも、石鹸にも、キャンドルにも、さまざまな模様を施すことができます。場所も問わず、ナイフとフルーツなどの素材があれば初心者の方でも簡単に始めることができるんですよ。

 専用のナイフは、今ではAmazonなどで手軽に購入することができますし、お家にあるペティナイフで代用することもできます。

――作品はどのくらいの時間でをかけてできあがるんでしょうか?

 基本的に野菜やフルーツを使った作品は、時間が経つと傷んで悪くなってしまうので、何日間もかけて作るということはありません。

 これからお教えする小さな作品であれば、15分くらいで作ることができますし、スイカのような大きなものに模様を彫るといった大作でも、2~3時間程度で完成させるのが一般的ですね。

――ではカービング講座で、初心者の方に最初に教えることとは?

 最初はキャベツの葉など薄いものにナイフを入れ、透かし彫りのような作品を作ってもらいます。その次に人参などの硬い野菜の表面を彫ってもらいます。基本となる最初の線を真っ直ぐ彫る方法であるとか、ナイフを入れる角度であるとか、人参などでそういうことをお教えします。

――最初は石鹸のような腐らないものでやるのかと思っていましたが……。

 石鹸は確かに腐りませんが、柔らかく簡単に切れてしまうため、基本ができていない人が彫っても、なんとなく“それっぽいもの”ができてしまうんです。私は基本をしっかり身につけたほうがいいと考えていますので、石鹸から始めるよりも、野菜を切ることでナイフの動きなどをしっかり覚えていただくことを重視しています。

――カービングに対する山口さんのポリシーはありますか?

 アートである前に野菜やフルーツは食材ですから、最後は必ず食べるということですね。カービングには、彫って、見て、食べるっていう三段階の楽しみがあると考えています。ホームパーティのときなど、お客様を自宅に招いた際、自分で彫った野菜やフルーツをお出しすると、やはり食卓が賑やかになりますよ。

 そんな山口さんに、今回は初心者でも短時間で作れるカービング作品を教えていただきました。おうちにあるもので簡単にできますので、ぜひ試してみてください。

2021.05.02(日)
文=海老エリカ(A4studio)
撮影=釜谷洋史