皿洗いは、わが家では重要な仕事だった。夕食後は娘たちがみんなシンクの前で小さな台の上に立ち、お皿を洗った。もちろん、すべてをピカピカにはできなかったけれど、家族の責任を学ぶことにはなった。孫たちもまたこのわが家の伝統を受け継いでいる。4歳のアバはスツールを持ってきて、兄のレオンの皿洗いを手伝っている。朝のベッドメイクもまた、娘たちの仕事だった。とは言っても、娘たちがベッドメイクしたあとのベッドはまだ、誰かが眠っているように見えた。それでも、わたしは文句を言わなかった。ベッドメイクらしきものをしている限りはよしとしてあげた。
スーパーマーケットに買い物に行けば、娘たちにりんごを2ポンド分カートに入れるように頼んだ。今は子どもサイズの小さなカートもある。だが、当時はなかったので娘たちは普通の大きなカートを使わなければならなかった。わたしが教えた方法でおいしそうなりんごを選び、2ポンド分を量ってカートに入れる。娘たちには予算も教えておいた。もし予算オーバーしてしまったら、どの品物を棚に戻すかも考えてもらった。
自分で決めたことに責任を持つ
幼いころから娘たちにはある程度の自由を与え、それに伴う責任も意識させていた。たとえば、部屋のインテリアも(ある程度まで)娘にやらせた。どんな部屋にするかを娘たちが決めていいが、いったん決めたらそれで通さなければならない。当時は床を一面カーペットにするのが流行りだった。みんなでカーペット屋に行き、娘たちに好きなカーペットを選ばせた。6歳のスーザンは、毛足の長い鮮やかなピンクのカーペットを選んだ。だからそのカーペットでずっと過ごさなければならなかった(スーザンはそのカーペットをずっと気に入っていた。わたしとは趣味が違っていたのだ)。大人になってスーザンが家を買ったとき、インテリアデザインについては多少の経験があった(今回はもっとおとなしい色合いにしていたので、安心した)。ジャネットもこのチャンスを逃すまいと、鮮やかなブルーのカーペットを選んだ。こちらはまだわたしの趣味に合っていたけれど、ジャネットの部屋なのでジャネットの好きにすることが大切だった。アンも6歳になると自分のカーペットを選ぶことになった。アンは毛足の長い黄緑のカーペットを気に入った。
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2021.04.19(月)
文=エスター・ウォジスキー