外出を控え、パソコンに向かう時間が増えた今、運動不足や体重増加、筋力の衰えを実感している人も多いのでは。

 「筋力が衰えると“姿勢のくずれ”を招き、むくみや肥満の原因に。将来的にQOL(生活の質)が低下することも懸念されます。今こそ筋肉の大切さを再認識してほしい」と警鐘をならす整形外科医の中村格子先生に姿勢と筋力の関係をうかがった。

 「猫背で頭が前に出た姿勢が続くと、首の後ろが緊張して肩や首のコリが強くなります。さらに胸が圧迫されて呼吸がしにくくなり、体の前側の筋肉が縮んで顔もたるみます。人間は常に重力の影響を受けているため、運動をしなくても姿勢を保つために筋肉(抗重力筋)を使っています。正しい姿勢をとるだけで軽い筋トレとなり、自然に鍛えられるのです。まずは、頭の位置を戻し、正しい姿勢を心がけましょう。

 また、ボディを引き締めたいなら、筋トレは必須。毎日するのはかえって効果が得られず、週2~3回、各1時間程度が理想。難しければ、1時間おきに5分間でもいいので“ちょこちょこ”ストレッチを習慣にすれば体は変わってきますよ」

 さっそく、下のチェック項目で「頭の位置」を把握して次回からの「ヘッドコントロール」を実践。美しい筋肉がついた体を目指そう!


座り時間が長い人は危険信号! 上半身の状態を確認しよう

 知らず知らずあごが前に突き出て、前傾している頭の位置。当てはまる項目が多い人ほど、速攻、姿勢を正して!

□あごが鎖骨より前にある

あごと鎖骨の位置をチェック。同じライン上にあればOK。もし、あごが鎖骨よりも前に出がちなら頭が前傾している動かぬ証拠!

□胸がえぐられたように下向きに

重力に負けてバストにハリがなくなってくる30代以降。胸がえぐられたように下を向いていたら、頭が前傾して猫背なことが関係している。

□首を40度以上回せない

首を左右に回してみて。正面から40度以上(真横が90度)回せたらOK。回せない人は、頭が正しい位置になく、前に出ているということ。

□座ったときどっち?

右の、頭が坐骨の真上にあるのが正解。でも左のように頭が前に出ている人が多数。骨盤が後傾して首に頭の重みがかかり、肩コリの要因に。

□おへそのあたりに横ジワがある

おへそ周りにシワがある人は、頭が前に出て骨盤が後ろに下がっている状態が長く続いている人。お腹がくの字に曲がっている可能性が高い。

□首の後ろにシワがある

首の後ろに横ジワが刻まれていないかチェック。シワがなければOK。シワがある人は、常に首を前に出し、あごを上げて座っているはず。

次回「ヘッドコントロール」のやり方を読む

●お話を聞いたのは…
中村格子(なかむら かくこ)先生

Dr.KAKUKO スポーツクリニック院長。整形外科医として活躍する傍ら、トップアスリートのコンディショニング経験から一般向けに独自のエクササイズを提案。TVや雑誌、動画で実践しやすいエクササイズを発信。『10歳若返る! 姿勢バイブル』(小学館)など著書多数。

「頭の位置」を変えれば体は変わる!
筋力アップ入門

2021.03.23(火)
Text=Kinuko Kouchi(PRIMADONNA)
Illustrations=Hiroko Takashino(ASTERISK)

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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