政府は事実を伝えるだけでなく、ムードを変える必要がある

「Fun(ユーモアコミュニケーション)」には2つの方法がある。

 1つはフェイク情報に対するものだ。フェイク情報が世にあふれている今、タンは、政府は事実を伝えるだけでなく、ムードを変える必要があると考えた。うわさを流す人は、多くの人の怒りをかき立てて情報を拡散しようとする。そうであれば、ユーモアをもって本当の情報を発信すれば、疑念からの不安を解消できるだけでなく、ネットユーザーも「怒り」の気持ちを「喜び」に変えることができる。

 タンは「1時間以内にユーモアを交えて本当の情報を発信し、反撃する」ことができれば、人々は笑いながら進んで真実をシェアしてくれるため、インターネット上で本当の情報がフェイク情報よりも速く伝わると語った。

「こうすれば、単に事実を明らかにするよりもずっと効果的だ」

 また、英国BBCのインタビューではもう1つの「ユーモアコミュニケーション」に触れ、それが政府の防疫政策の発信にも使われたことを話した。例えば今回、防疫宣伝の大役を担った衛生福利部インターネット編集担当者が、愛犬の写真を同部公式Facebookページにミーム(吹き出し文字を組み合わせた画像)として載せたところ、意外にも熱烈な反響を呼んだのだ。

写真はイメージです ©iStock.com
写真はイメージです ©iStock.com

「その後、衛生福利部にはスポークスパーソンだけでなく、スポークスドッグもいることになりました」

 タンは笑いながら海外メディアに英語で答えた。この愛らしい柴犬は、Facebook上でマスクの正確な着け方を伝えたり、感染状況が緊迫したときには、家の中でテレビや映画をみることを勧め、状況が落ち着いたときには「防疫新生活(感染症対策のための新しい生活様式)」で郊外に遊びに行こうと力づけたりした。

 

英語学習は「英語のラップを聴いて」

 さまざまな海外メディアからのインタビューでは、どれだけ長い質問に対しても、タンはどう反応すべきかを瞬時に判断し、正確な英語でよどみなく答えた。中学校を離れて以降、進学していない彼女が、なぜこれほど英語を話せるのだろうか。

2021.02.17(水)