「これはオレの写真であり表現なんだ!」とも言いたい
結婚後も、桑島さんは安達さんを撮り続けた。
それはそうだ。桑島さんにとって彼女は最愛の妻であり、最高の被写体であるのだから。
「ただ、日々撮っているうちに、写真家として当然の欲望も浮かび上がってきました。
![©️山元茂樹・文藝春秋](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/7/a/-/img_7a7e4058fbefc09de37d2b5044f60a8d876918.jpg)
結婚前に撮っていた『私生活』は、あくまでも安達祐実の写真集という受け止められ方をされた。基本的には、被写体への関心ありきで手に取ってもらっていたわけです。
それはそれでうれしいのだけど、僕としててはもうすこし、撮り手側に写真を寄せたい気持ちもあった。安達祐実が写っているというだけじゃなくて、『これはオレの写真であり表現なんだ!』とも言いたい……。
そう心のどこかで思いながら、ふたりの生活の瞬間、瞬間にカメラを向けていました。これまでに撮った枚数なんて、もうとっくに数え切れない。折りに触れてまとめてきたプライベートアルバムは数百冊くらいになっていて、家の一室にキチンと整理しています」
![「我旅我行」より](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/b/4/-/img_b40daba311c5736445d2cb9c0daa71db230292.jpg)
2020.11.24(火)
文=桑島智輝、山内宏泰