コント師・ハナコ。秋山寛貴、岡部大、菊田竜大の3人から成る彼らは、2018年の『キングオブコント』(TBS系)で優勝しその名を世間に知らしめた。当時まだ第7世代のムーブメントはなかったが、結成からわずか4年と若い彼らの優勝は、芸人の高年齢化が指摘される中で新しい風を感じさせる出来事だった。
現在、霜降り明星やEXITなどと同じく第7世代に括られることも多い彼らは、『有吉の壁』(日本テレビ系)や『ネタパレ』(フジテレビ系)など多くの番組に出演している。
賞レースの覇者としてネタ番組への出演も多く、『お助け!コントット』や『東京BABY BOYS 9』)ともにテレビ朝日系)といった不定期放送のコント番組ではレギュラーも務める。人気若手芸人のひと組といって間違いないだろう。
そんな3人の中でも、特に著しい活躍を見せているのがリーダーの岡部だ。坊主頭と太めの体型が特徴で、コントの中ではボケ役を担うことが多い彼だが、『有吉ゼミ』(日本テレビ系)での大食いや、『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日系)での食レポ、『THE突破ファイル』(日本テレビ系)の再現VTRなど、1人で出演しているバラエティ番組は数多い。
さらに、最近目立ち始めたのがドラマへの出演だ。『私の家政夫ナギサさん』(TBS系)に出演した彼は、朝ドラ『エール』(NHK総合)でも重要な役どころを務めている。バラエティからドラマまで引っ張りだこのハナコ・岡部。何が彼の魅力を支えているのだろうか。
癒やしからシリアスへ...確かな演技力
放送中の朝ドラ『エール』で岡部が演じているのは、窪田正孝演じる作曲家の主人公のもとに弟子入り志願に来た青年・田ノ上五郎だ。音楽の才能はないものの優しく実直なキャラクター。
そんな朴訥な役柄は岡部が発する絶妙な“かわいさ”とも交絡し、戦争が激しくなりシリアスな度合いを増すドラマの中で一種の癒やしになっていた。『あさイチ』(NHK総合)の“朝ドラ受け”では、岡部が出てくると「ホッとする」といった声が聞かれたほどだ。
しかし、その後ドラマがさらに暗い時代へと入っていくと、岡部の役どころも一転。その実直さゆえに、軍歌を作曲する主人公に正面から異を唱えたり、特高警察に連行されるも戦争反対の主張を貫き拷問を受けたりするシーンが増えていく。癒やしからシリアスへ。その反転は、岡部の確かな演技力を感じさせた。
2020.11.09(月)
文=飲用 てれび