2000年から長きにわたって放送されている人気ドラマ「相棒」(テレビ朝日系)。10月14日には、ドラマ誕生20周年イヤーとして、新シリーズ「相棒season19」がスタートする。現在水谷豊演じる杉下右京の“相棒”を務めているのは4代目相棒の冠城亘(かぶらぎわたる・反町隆史)である。
ドラマに限らず、アニメでもバラエティでも長寿番組のメインキャラが交代するときには、たいてい批判的な声が噴出する。愛着ある世界が作り替えられてしまう寂しさや、“思い出補正”もあるだろう。それゆえ、どうしても初代が至高と言われがちである。
しかし「相棒」に至っては、「4代目の反町隆史こそが最高の相棒」という声も多い。視聴者からの支持もあるのだろう。反町はseason14から6回に渡って相棒を務めている。
反町隆史の相棒としての魅力は、一体どこにあるのだろうか。
バディもので重要なのは、“ビジュアル”と“能力”の凸凹感、そして相棒との“関係性”だ。右京は涼し気な目元にあまり感情を表に出さない“公家顔”かつ、天才的な頭脳を持ち論理的に事件を解決に導く“頭脳派”。
相棒がこの右京とどうバランスをとっているかで、作品のテイストも大きく変わってくる。まずは過去の相棒たちを振り返ってみよう。(※本稿にはテレビ版「相棒」シリーズのあらすじが書かれています。ネタバレになる可能性があるのでご注意ください)
初代相棒は暑苦しめの“武家顔”
長寿ドラマ「相棒」の土台を築いたのは、約6年に渡って初代相棒を務めた亀山薫(寺脇康文)だ。
薫は暑苦しめの“武家顔”。単純で熱血、危険を顧みずに身を挺して職務にあたるような真っすぐさがあった。そして卓越した推理力を持つ右京とは対照的に、粘り強く足を使って地道に聞き込みする“肉体派”だ。
薫の前に右京の相棒に任命された警察官6人はみんな「最短1日、最長でも1週間もたなかった」が、薫と右京は馬が合った。薫は右京の負傷を心配して怒ることもあるほど右京にはとにかく忠実で、右京もおっちょこちょいなところはあるが人情に厚く、労を厭わずに捜査に当たる薫を可愛がっていた。
初代であることに加え、右京との対比も分かりやすく今でも“相棒”といえば薫をイメージする人も多いだろう。
今改めて観ると、初期の右京は意外に全力疾走したり、不意にキレのある動きを見せたりと、若々しさに驚かされる部分もある。実際に右京が若かったということもあるだろうが、薫のキャラクターに動かされていたようにもみえる。今ほど複雑で混沌としていなかった時代性ゆえに身近な話題が多く牧歌的だったが、アクションシーンと推理要素のバランスがよく、多くの「相棒」ファンを獲得した。
2020.10.26(月)
文=田幸 和歌子