2代目は“敵役”としてスタート

 それに対して、season7の途中からseason10まで、2代目相棒を務めた神戸尊(かんべたける・及川光博)は“公家顔”ד頭脳派”で右京と似たタイプだった。

 元々ノンキャリアだったがその優秀さから推薦を受けて警察庁に採用された神戸は、独断で行動しがちな右京を監察するためのスパイとして特命係に送り込まれる。相棒というよりも“敵役”としてスタートしたため、最初は探り合いにも似たやりとりが繰り広げられた。

 右京からのイヤミ攻撃に神戸がイライラしたり、先回りして自分の推理を喋りすぎる神戸に右京が「少し黙っていてください」と注意したりと、序盤では噛み合わないやりとりが多く、ヤキモキした視聴者も多かったのではないだろうか。

 神戸はスパイという立場もあり、報告書に右京について「付き合うのに骨が折れる」と記録したり、「前の相棒はどういう神経だったのか」と訝しむこともあり、初代相棒の薫とは真逆のキャラクターとして描かれた。物語そのものも、おおらかな明るさがあった前シリーズに比べ、内的で静的な重い展開になりがちだった。

 もちろん、当初は警戒し合っていた右京と神戸が事件をきっかけに理解を深めていく様子に“萌え”はあった。一歩及ばないとはいえ、右京も一目置く推理力を持つ神戸は、右京とある種対等に渡り合っていた。

 神戸が“相棒”をお役御免となった後、season17の元日スぺシャル「ディーバ」で、右京からの依頼を受けて特命係の窮地に再登場を果たした際には、やはり右京は神戸を頼りにしていたんだなとファンが大いに沸いたものだ。

 しかしながら、アクションシーンは少なく社会派のテーマが多かった。全体的にはスマートながらも“暗い相棒”だった。

2020.10.26(月)
文=田幸 和歌子