新型コロナに先手を打った台湾 暮らしもビジネスもほぼ通常通り

 新型コロナウイルスの影響で、世界中が「#stayhome」の日々を送っています。

 日本よりも長く自宅にこもる、海外のかたがた。休業補償やたまるストレス……。その暮らしぶりは?

 台湾では早くからの防疫対策が功を奏し、新型コロナの封じ込めに成功しつつある、と言われています。

 とはいえ、普段とは異なる日々にたまるストレスは同じ。

 そこでCREA WEBで連載中の台湾に在住するコーディネーター矢作晃之さんに、今の暮らしぶりをアンケート形式で答えていただきました。

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「イタリア」篇②


Q1. お住まいの場所を教えてください。

 台湾の台北市です。台北は東京からフライトで4時間弱、マイナス1時間の時差になります。

 自宅は住宅街ですが、大学が近いので台湾人以外に外国人も多い場所です。

Q2. 外出できる条件や頻度など 規制ルールは?

 政府発令の規制は今、大まかに下記のとおりです。

―外国人の入国禁止 ※居住権のある外国人は除く

―台湾国籍を有する者、および居住権のある外国人は入国後14日間の自宅隔離

―公共交通機関での検温とマスク着用義務

 学校に感染者が出た場合、その段階から在宅授業に切り替えとなりますが、基本的には全面的に登校しています。

 キャバレーやスナックなどは営業を停止されていますが、日本ほど多くの業種が自粛を要請はされていません。新型コロナの影響で顧客の減少はもちろんありますが、店がまったく営業できない状況ではありません。

 ただ営業している店舗はデパートなどの大型店、室内小売店を問わず、検温や入場時のアルコール消毒などは、どの店舗も自主的に行っています。

 ソーシャルディスタンスを守るという意味で席数を減らす、間隔を空けて座らせるなど、多くの店が室内でも対応しています。

 マスクは2020年1月下旬という早いうちから政府が対策を講じ、早々に管理して販売。販売数をコントロールする配給制的な販売方法になっているので、深刻なマスク不足にはなっていません。

 また、トイレットペーパーの買い占めや食料品のまとめ買いなどの行動もかなり前にありましたが、現在はそういった問題も全く発生していません。

 市民が気をつけるべきことはテレビの画面に毎日テロップで流れ、アナウンスされます。

 さらに政府がコロナ対策のために組織した「中央感染症指揮センター」が番組のCM枠を利用して、一層踏み込んだ注意喚起などを行い、徹底した意識づけをしていることも感染拡大防止につながっていると思います。

 こういった環境のもと、これまで通り会社も普通に出勤し、若干の行動制限はあるものの大きな混乱はなく、一般的な生活を送ることができています。

 でもレジャーに関しては、出来る限り自粛するように政府から呼びかけられています。

 台湾では室外であろうが、室内であろうが人が密集することが一番よくない、と注意喚起がなされていますので。

Q3. 日本ではテレワークが増えましたが、仕事の環境は?

 緊急事態宣言が発令されていないので、状況は変わらず、これまで通りです。

 ただしテレワークは推奨されているので、企業の一部は導入しています。でも、劇的に接触人数が減るほど街から人が消えるまでには至っていません。

 私自身も通常通りに出勤し、オフィスで仕事をしています。

Q4. 休業補償はどのようなもの?

 みんな、通常通りに働いていても、他国からの入国禁止や、来店客の減少など、新型コロナによる経済的損失は生じています。

 政府からの貸付としていくつかのプランがすでに実施されています。

 貸し付けの際、条件つきですが無利子として返済可能なプランなどを実施。基本条件は2020年1~2月の売り上げが前年7月~12月の売り上げ対比15%減、かつ前年度は黒字であることなどが前提。

 これらの審査を政府が直接行うのではなく、各銀行の(全支店ではありませんが)支店ごとに政府が委託した窓口があるので、銀行が代わりに対応する形で行われています。

 そのほか、屋台など事業主に労働保険的な費用を支払っている現状があれば3万元(約10万6,000円)の給付や、今年に入ってから月の平均売り上げが50%以上落ち込んでいる中小企業に一定期間内にリストラなどを行っていなければ、経営者に従業員ひとりにつき1万元(約3万5,000円)、従業員の給与の3月分を上限に毎月40%分の給与を政府が助成する(上限金額あり)など、補償対策がスタートしています。

 こういった制度により、弊社も含めて多くの中小企業などが何らかの借り入れや助成を申請できる環境になってきています。

2020.04.30(木)
文・撮影=矢作晃之