カナダは早々と国境閉鎖 現在は少しずつ良い方向に

 新型コロナウイルスの影響で、世界中が「#stayhome」の日々を送っています。

 日本よりも長く自宅にこもる、海外のかたがた。休業補償やたまるストレス……。その暮らしぶりは? 

 カナダでは日本よりも1カ月ほど早く、バンクーバー市を含むブリティッシュ・コロンビア州政府が2020年3月18日(水)に非常事態宣言を発令。

 CREA WEBの記事でご協力いただいた、カナダのバンクーバーに在住するコーディネーター長谷川和人さんが、現地の様子や感じたことをアンケート形式で答えてくれました。

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Q1. お住まいの場所を教えてください。

 カナダの西側沿岸、ブリティッシュ・コロンビア州のバンクーバーです。

 バンクーバーへは東京から直行便で約9時間、時差はマイナス16時間(夏時間)。

 私自身は一戸建ての家が並ぶ庶民的な住宅街に住んでいます。

Q2. 外出できる条件や頻度など 規制ルールは?

 州政府に続き、バンクーバー市は3月19日(木)に緊急事態を宣言、それに基づく条例に違反すると1,000~50,000カナダドル(約76,000~380万円)の罰金が科せられる可能性があります。

 ちなみに連邦レベルでは3月16日(月)にアメリカを除く外国籍者の入国を禁止、3月20日(金)にアメリカとの国境も閉鎖されました。

 バンクーバー市のガイドラインは、

① 病気やその疑いがある人は家にいる

② 屋外では人との距離をすくなくとも2メートル空ける

③ 私有地や職場、公園で集まらない

④ 医療など指定された社会生活上重要な職種のエッセンシャルサービス以外で働かなくてはならない場合は、人と2メートルの距離を取る。不可能な場合は閉鎖すること

⑤ 食料の買い出しや治療、散歩などの運動以外の外出は控える

 近所の住宅街では犬を散歩させる人やジョギングをする人を見かけますが、集まって騒いだりする人々はいません。すれ違うときは道路の反対側に移動して、2メートル以上を保つようにお互いが気をつけています。

 エッセンシャルサービスの業種指定が意外と幅広く、会計士なども含むため、街の中心であるダウンタウンの商業地区はそれなりに人はいますが、通常に比べれば激減しています。

Q3. 日本ではテレワークが増えましたが、仕事の環境は?

 前述の通り、エッセンシャルサービス以外でも職場でソーシャルディスタンスを確保できる場合は営業可能ですが、ほぼ休業、またはテレワークに移行しています。

 レストランはテイクアウトかデリバリーのみ営業可。

 散髪やネイルなどパーソナルケアは閉鎖。

 バスや電車も、座席の半分は座らないように交互にシールが貼られていて、乗客数を制限して運行しています。特にバスは運転手と乗客の接触を減らすために、後部ドアからの乗降のみ。

 料金支払い機器が運転手の横にしかないため、結果、現在は乗車が無料となっています。※ちなみに電車は以前から無人化で運行されています。

 私自身のビジネスは日本からの取材、ロケなど各メディアのカナダ取材撮影を前提としているので、国境閉鎖以降ゼロとなっています。先行きはまったく不明ですが、少なくとも年内は取材が無いのかも……と思っています。

Q4. 休業補償はどのようなもの?

 まず、個人向けの補償についてです。

 国レベルでは、今回のコロナ禍によって失職や停職、休校になって子供の世話をするので働けなくなった人などさまざまな事情により働けなくなった人を対象に、週500カナダドル(約3万8,000円)の手当を最長16週にわたって特別救済支援金が出ています。

 発表は3月16日(月)で、3月25日(水)に法制化、4月6日(月)から申請開始。申請後2日以内に振り込まれます

 給付は3月16日(月)からなので、わが家でも家族がすでに2回受給、4週間分ずつまとめて前払いされます。

 この運用は開始以来、取りこぼした層を救済するために随時ルールが改正されています。

 州政府も別途1,000カナダドル(約7万6,000円)の給付を発表していますが、実際の支給は5月にずれ込む予定。

 また、300~500カナダドルの家賃補助3カ月分の給付に加え、学生ローン凍結や家賃滞納による強制退去無効化、低所得者向け手当の増額などが行われています。

 4月22日(金)には学生向けの援助も開始されました。

 カナダでは5月~8月の夏休みが、多くの学生にとって学費や生活費を稼ぐアルバイト期間ですが、今年の夏は今回のことで一切の就労が見込めません。

 そこで「カナダのゆく末は、将来この国を支える今日の学生たちを、今いかにサポート出来るかにかかっています」というメッセージとともに、義務教育修了以上の学生、および今期卒業予定者を対象に5月~8月の4カ月間にわたって毎月1,250カナダドル(約9万5,000円)を給付。また夏休み中にコミュニティーワークや国へのボランティア活動をする場合は、来期の学費を最高5,000カナダドル(約38万円)まで補助する制度も設置されました。

 ビジネス向けの補償は、次の通り。

 国レベルでは従業員の給与の75パーセントを3カ月にわたって補償、4月27日(月)申請開始。

 ほかにも、2020年末まで40,000カナダドル(約305万円)の無利子融資、うち条件付きで10,000カナダドル(約76万円)は返済不要という発表がされており、融資はすでに開始されています。

 そのほか国や各州ともに様々な税金や支払いの猶予があります。

 募金が集まらなくなったチャリティー団体への補償も行われる予定です。

2020.04.30(木)
文・撮影=長谷川和人