
世界で新型コロナウイルスの猛威が衰えないなか、これ以上の感染拡大を防ごうと各国で「ロックダウン(都市封鎖)」が行われています。
東京都の小池都知事も2020年3月23日(月)に「都の封鎖もあり得る」とコメント。
「買い物は1日に1回」「外出には許可書が必要」などロックダウンでは自粛以上に行動が厳しく制限され、そのルールは国や自治体によって異なります。
ロックダウンがなぜ必要とされ、行われると何が起こるのか?
ニューヨーク在住のライター黒部エリさんが、現地で感じた様子を届けてくれました。
ロックダウンで ゴーストタウンとなったNY


ニューヨークがロックダウンされた――。
ニューヨーク州のアンドリュー・マーク・クオモ知事は「これは私たちができる一番の行動なんです」というコメントともに、3月22日(日)20時から不要不急の外出を禁止。全企業で社員100パーセントが自宅待機となった。


これほど、人がいないがらんとした5番街やタイムズスクエア、グランドセントラル駅を見るのは初めてだ。
1994年からニューヨークに住む私自身は、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件の時も、2012年ハリケーン・サンディの大停電の時もここで経験しているが、眠らない都市といわれるこの街がゴーストタウンになるのは見たことがなかった。
アメリカ政府発表によると、新型コロナウイルス感染者数では16万人以上と、中国を抜いて、今や世界でもっとも多い感染者数となっている。

すでに感染者数の多いニューヨークでは感染の拡大を緩やかにしないと医療体制が破綻するので、とにかく人から距離を取る「ソーシャル・ディスタンシング」が叫ばれている。
CDC(アメリカ疾病管理予防センター)によると、人との距離を「約6フィート(約180センチ)」置くことが奨められている。
それでも今や、アメリカではニューヨーク州での感染者数がもっとも多く約6万6,000人、1,218人が死亡。253名が24時間以内に亡くなった。感染者はニューヨーク市だけで3万6,000人以上にのぼる。※3月30日(月)クオモ州知事と、ビル・デブラシオNY市長の会見より
3月初めにニューヨーク州南東部に位置するウエストチェスター郡で、最初の新型コロナウイルス陽性患者が判明。それから、あっという間に急カーブを描いて感染者数が増えていき、イタリアの後をなぞっているかのようだ。
2月初旬 ダイヤモンド・プリンセス号は対岸の火事だった
日本でダイアモンド・プリンセス号の感染が大きく騒がれていた2月初旬頃は、新型コロナウイルスをまだ対岸の火事として見ていたアメリカ人が多い。
その時点ではアメリカでマスクをつけている人は皆無で、マスクをしているアジア人はかえってヘイトやイヤがらせの対象になるので、在米邦人たちの間でもマスクをつけないでいる人が多かった。
それが一変したのは、このロックダウンが行われてから。
アメリカ人でもマスクをつける人が増えて、医療用の使い捨て手袋を嵌めている人たちも珍しくなくなった。
2020.03.31(火)
文=黒部エリ