政府からSNSで 休業補償の連絡が届く人も!

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、世界中が「#stayhome」の日々を送っています。

 日本よりも長く自宅にこもる、海外のかたがた。その暮らしぶりは? 

 非常事態宣言が2020年3月23日(月)に出された英国で、外出制限令のこと、たまるストレスの解消法など、ライター安田和代さんに暮らしぶりや感じたことをアンケート形式で答えていただきました。

» リアルな生活「イタリア」篇①


Q1. お住まいの場所を教えてください。

 英国、ロンドンです。ロンドンは東京から直行便で約12時間、マイナス8時間(夏時間)の時差になります。

 私が住むのはロンドンのゾーン3で、中心地まで地下鉄で15分~20分。東京でいうと都心から阿佐ヶ谷とか高円寺くらいの距離感です。普段は中心部へ通勤する人がほとんど。

 住んでいる街のメイン通りにはレストランやショップが充実しており、通常は徒歩圏ですべてこと足ります。

 わが家は普通の民間集合住宅ですが、周囲には一軒家と集合住宅があり、豪邸と、低所得者向けの公共住宅が混在しています。

 ギリシャ系移民の多い地域で、余談ですがギリシャ系移民のファミリーを持つジョージ・マイケルが生まれたのもすぐ近くです(笑)。

Q2. 外出できる条件や頻度など 規制ルールは?

 英国では、以下のケースに限り、外出が可能です。

① 食料など生活必需品の買い出しのための最低頻度の外出

② 一日一度の運動のための外出。ひとり、または同居している人と一緒でもOK

③ 自らの医療のため、また自己隔離している人を介助するための外出

④ どうしてもリモートワークできない場合の通勤のための外出

 ②の一環でジョギングやウォーキングをする人が多いでのすが、大きな公園では拡声器をつけた警察の車が、「運動したらただちに帰ってください」とアナウンスをしているそう。

 うちの近所はまだのんびりしているのでそういったことはありませんが、ベンチにはすべて赤と白のテープが貼られて、座れないようになっているようです。

 ロックダウン後、英国は本当に皮肉なことに好天に恵まれているので、特に外でぶらぶらしたり人が集ったりすることに対して、警戒しているのだと思います。

 違反すると罰金を支払いますが、それがいったいいくらなのか、きちんと知っている人はいるのかなぁという感じではあります。

 英国は初期から、


If you go out, you can spread it 
If you stay in, you can stop it 
Stay home 
Protect NHS 
Save lives

※あなたが外に出ることで、それを広めてしまう 
あなたが家にとどまることで、それを止めることができる 
家にとどまり 
国民健康医療サービスを保護し 
命を助けてください


 という強いメッセージを打ち出しています。

 特に最後の3行はスローガンとして、政府がことあるごとに繰り返しているので「家にとどまることが、人の命を守ることに繋がるのだ」という啓蒙はかなり強いです。

Q3. 日本ではテレワークが増えましたが、仕事の環境は? 

 英国は、医療関係者(歯医者などは休業中)、スーパー、薬局、郵便局などのほか、建築現場はいつもどおり稼働しています。

 これにはボリス・ジョンソン首相率いる保守党政権が建設業界と繋がっているから、という深読みも一部あるようですが……。

 基本、いまのところ建築現場はソーシャルディスタンスを保ちつつ働けるならOK、らしいです。

 地下鉄は、通勤時間でも車両ひとつに、ひとりとかふたり、多くても4〜5人の乗客のようですね。

 バスも路線によりますが、日中は乗客がひとりかふたりということが多く、運転手以外は誰も乗っていないというのもよく見かけます。

 私が仕事で携わっている出版社も、早々に完全リモートになりました。

 ちなみに、うちの夫はテレワークできないので、時々ロンドン中心部に出かけていきます。雇用主から通勤の正当性を記したレターを携帯しながらも、一度も警察から声を掛けられたことがなく、折角のレターを見せる機会がないのだそうです。

 そこで次に仕事へ行くときは、麦わら帽子をかぶって半ズボンでビーサンなど、ツーリスト風の格好をすれば、警察に話しかけてもらえるかも、などと冗談で言っているのですが、まだその勇気はないようです(笑)。

Q4. 休業補償はどのようなもの?

 英国では早々に、月収の80%まで、最高2,500ポンド(約33万2,500円)まで、2020年6月までの3カ月分を補償する、と発表されました。

 しかしこれは、従業員に直接ではなく、雇用主に向けてリストラを防止するための策。

 政府から実際に入金されるまで2カ月ほどの期間をしのげない雇用主は、早々に従業員を解雇しています。解雇された人は、通常の失業保険の対象となるわけです。

 フリーランスも休業対象です。

 過去3年間の収入から月収平均を割り出し、その80%まで、最高2,500ポンドまで3カ月分が補償され、知人のフリーランスの納税者は政府からのSMSを受け取ったと言っていました。

2020.04.28(火)
文=安田和代(KRess Europe)