ダンナとのケンカは避け 少しだけ努力する

Q8. 日々の暮らしで心がけていることは?

 当たり前すぎるかもしれないのですが、世間のムードや余計な情報に流されず、日々やるべきことをちゃんとこなすこと、を心がけています。

 自分の場合は、仕事以外では「日々やるべきこと」として、これまで以上に

① 借りている菜園で畑仕事をする
② ぬかみそ、サワードウ、コンブチャと呼ばれる紅茶キノコなど発酵食品の世話をする
③ 自分で料理をする。パンを焼く(←これは新しい趣味)
④ 通信制大学の勉強をする

 を心がけています。気持ちも落ち着くので助かっています(笑)。

 ①と②で生きているものに触れていると、人間がごたごたしていても、季節がきたら自然はいつも通りに反応していくことがわかって、なんだかホッ。

 身体をつかって畑仕事をするのも、没頭できていいみたいです。もちろん野菜がとれるのもありがたいです。

 それと、もうひとつ。

 個人的に親しくしている80代ひとり暮らしの女性がふたりいるので、気にかけて声をかけるように心がけています。

 ひとりは近所に住んでいるかたで、買い物が必要ないか尋ねています。

 必要に応じて必要なものを電話で聞いて、私が行く直前に玄関前にバッグを出してもらってピックアップ。帰りに買った物とバッグをドアの前に置いて、ピンポンダッシュして帰ります(笑)。

 あと、そうでした!

 ダンナとケンカせずうまくやっていくように努力することも大切かと。

 今の時期、ホテルは閉まっているし、友人宅にも行けないし、野宿する気にもなれないし、簡単に家出することもままならない。

 ぶつからないように互いに快適に過ごせるように、いつもよりも少しだけ努力しているかも? です(笑)。

 うちの場合は、あんまり一緒にいすぎないことでバランスをとっているかもしれません。

 私自身は普段から家で仕事をしているので、いつもどおり、基本は朝も昼もコンピュータの前でデスクトップミール。夜だけ一緒に食事をしています。

 もうひとつ、互いの縄張りを荒らさない、というのもあるかも……。夫は私の仕事部屋には入ってきませんし、彼がリビングであれこれしているときは、私もそっとしておくよう努めています。

Q9. ふさぎこみがちな昨今、心温まる話があればぜひ!

 Q5.のパン屋さんでは毎日限定で、無料でパン種のサワードウを提供。私もいただきました。

 パン屋さんのウェブサイトで、女性オーナーの自著であるレシピ本からパン種の世話の仕方やもっともベーシックなパンのレシピといった内容を一部、PDFでダウンロードできるようになっていて「無料な分、困っているところに届くようにどこかへ寄付してほしい」とありました。

 私もホスピタリティ産業に向けたチャリティー、Hospitality Actionに、わずかですが寄付しました。

 後日、パンを焼いて写真をInstagramにあげ、「ありがとう」と「Hospitality Actionに寄付しました」とつけたところ、パン屋さんからも「寄付してくれてありがとう」のコメントが。

 また、9世帯入っているうちのフラットではWhatsAppでグループを作っています。

 そこでも「今日買い物に行くけど、欲しいものある?」とか、「牛挽肉がひとパック余ってるけど、欲しい人?」「うちの両親のイタリア料理屋さんがしばらく閉店するからパンナコッタとティラミス欲しい人?」とか、いつもなら絶対にないやりとりが展開されています。

 小さなことですが、ご近所コミュニティでこういうやり取りができるのは、こういう時期ならではなのかも、と思います。いつも以上に、お互いに助け合うことを必要としているんだろうなぁと。

 英国では、イタリアやフランス、スペインなどのほかに遅れて、毎週木曜日の午後8時に、働いているすべてのキーワーカーに向けて拍手をする、というのが始まりました。

 周囲の国では毎日のようですが、英国は週イチ。

 週イチだからか、すごい盛り上がりで、みんなが庭先や窓からヒューヒュー、パチパチ。自宅に残っていた? 花火をドーンドーンと上げる家もあって、殺伐としがちな毎日に、ちょっとだけお祭り気分を味わわせてくれます。

 新型コロナウイルスは決してありがたくない存在ですが、自分の身の回りを見渡すと、今、いつも以上に人を思いやる風潮があるように思えて仕方ありません。

 苦境だからこそ、いつもよりも少しだけ、ほかの人も大丈夫なのかな? という関心が働いているのかもしれないです。

Q10. CREA WEB読者にメッセージをぜひ!

 すごく月並みですが、まとまった時間ができるかたも多いと思うので、なにか楽しめることを見つけて、日々の生活を楽しく過ごしていただけたらと思います。

 社会人になってから、こんなにまとまった時間ができたのは初めて、というかたもきっといると思うので……私もそうです。

 あと、同居しているかたとうまく折り合いをつけていただけたら、と思います。

 英国ではDVも深刻な問題になっていて、相談窓口への電話件数が増えているそうです。

 そういった問題が発生したら、ひとりで悩まずに、相談窓口にネット経由などですぐに相談してください。深刻な場合は迷わず警察へ連絡を!

 お互いにぜひ時間を有効につかって、生活を楽しみつつ、ポストコロナの世界を良いものにできることを目指しましょう。

※記事の内容は2020年4月27日(月)現在のもの。制度や現況の情報は一部であり、各自治体、エリアなどによって異なる場合があります。

安田和代(KRess Europe)

日本で編集プロダクション勤務の後、1995年からロンドン在住のライター編集者。日本の雑誌やウェブサイトを中心に、編集・執筆・翻訳・コーディネートに携わる。
●ロンドンでの小さなネタをつづったインスタグラム @gezkaz
●運営する編集プロダクションのウェブサイト http://www.kress-europe.com/