イタリア政府が不可欠と認めた 犬の散歩

 新型コロナウイルスの影響で、世界中が「#stayhome」の日々を送っています。
 
 日本よりも長く自宅にこもる、海外のかたがた。休業補償やたまるストレス……。その暮らしぶりは? 

 2020年3月10日(火)に全土が外出禁止となったイタリア。

 CREA WEBに記事を執筆いただているイタリア南部、シチリア島在住のライター岩田デノーラ砂和子さんに、休業補償やストレスの解消法などをアンケート形式で答えていただきました。

» リアルな生活「ロンドン」篇


Q1. お住まいの場所を教えてください。

 イタリア南部のシチリア州、州都パレルモの新市街中心地。

 パレルモへは、東京からローマ経由のフライトで約15時間強。時差はマイナス7時間(夏時間)です。

 住んでいるエリアは、旧市街に近い新市街の繁華な場所で、近所にはスーパーマーケットや食料店、ドラッグストア、タバコ屋さんなどの商店と住宅が混在しています。ファミリーから単身者まで様々な居住形態が見られ、社会階層的には、中の上。

 いわゆる下町と高級住宅地の間くらいで、近所同士の交流もあります。

Q2. 外出できる条件や頻度など規制ルールは?

 通院、職種によっては通勤、自宅から200メートル以内で食料や医薬など生活必需品の買い物、犬の散歩など、必要最低限が可能。回数に制限はありません。

 犬の散歩は“必要不可欠”として許可。犬の健康を考えた人道的、いや犬道的なイタリア政府の姿勢には感心します。

 ロックダウンの効果が見えてきた4月第2週に規制が多少緩み、食料品店や薬局以外にも花屋さん、子供服店、本屋さん、文房具店など営業が許可されました。通常の10%ほど賑わいが戻ってきています。

 シャッターが目立ち、人通りも極少ですが、周辺に悲壮感はなく、「8月上旬のバカンスピーク期の日曜日」といったムードでしょうか。

 夜はまったく人通りがなく、静寂に包まれています。

Q3. 日本ではテレワークが増えましたが、仕事の環境は? 

 公共交通機関は運行しています。

 犬の散歩中に見かけるバスには、乗客はゼロか数人ほど。スーパーマーケットや銀行など一部、解禁されている職場への出勤と思われます。

 基本的にテレワークか、ほぼ休職状態です。

 私自身はもともと自宅に仕事場があるので、生活自体にあまり変化はないですが、仕事はキャンセルが相次ぎ激減してしまいました……。

Q4. 休業補償はどのようなもの?

 フリーランスへは政府から600ユーロ(約69,600円)の支援はすでにスタートしており、追加援助もあるかもしれないとの話。

 企業へは社員への給与補助が最大80パーセント、企業負担と合わせて100パーセント補償されるケースもあります。こちらも9週間の予定が延長される可能性も。

 ベビーシッター手当などの支援対策は「イタリア・ケア条例」にあり、イタリアだけで対応できないため、欧州連合と調整して政府が金策を練っている状況です。

Q5. 生活必需品で足りないものはありますか?

 特にありません。マスクも入荷されています。

 愛犬が気に入っている餌を扱う店がやや遠方のため、買いに行けないのが残念なくらい(笑)。

 ペット用品も生活必需品として休業要請はされていません。開いている近所のお店で買える餌で、今は我慢してもらっています。

2020.04.29(水)
文・撮影=岩田デノーラ砂和子