#05『チェルノブイリ』

「人類史上最悪」の事態を 壮絶な描写で暴き出す

 最後にご紹介するのは、壮絶な内容が議論を呼び起こしたテレビドラマです。

 ドラマ界の最高賞の1つ、エミー賞で10部門を獲得しました。タイトルの通り、1986年に起きたチェルノブイリ原子力発電所事故を描いたものになります。

 30年以上前の出来事なので、概要は知っていても詳細までは把握していないかたも多いはず。

 この作品は、事故当時に何が起こっていたのか。そして、その後に何が起こったのか。「人類歴史上最悪」と呼ばれる事態はなぜ起こったのかを、えぐるように壮絶な描写で暴き出していきます。

 この作品で寒気がするのは、「無防備の恐怖」をこれ以上ないほど辛辣に描いているから。

 原発事故が起きた際、野次馬根性で外に出た人々は「死の灰」に触れて被爆し、目を覆いたくなるような状態になってしまいます。

 「なんとかなる」と自分の目算だけで動いた権力者は、結果的に大勢の人々の命を奪う決断をしてしまいます。

 外出自粛を軽視した結果、自身が発症するだけでなく周囲の人々を巻き込んでしまう人々の姿が、連日報道されています。「最悪の更新」を避けるためにも、一人ひとりが責任を持った行動をしたいものです。

チェルノブイリ

DVD/Blu-ray レンタル専用
定額配信 なし
ネットレンタル Amazon Prime Video

 パニック映画の中には、必ずといっていいほど、私たちの心にちくりと刺さる「警鐘」が込められています。

 そのメッセージをしっかりとキャッチして、いまこそ自らの行動を顧み、活かしてゆきましょう。一刻も早く、日常を取り戻すためにも。

※定額配信とネットレンタルは、U-NEXT、Hulu、dTV、FODプレミアム、Netflix、Amazon Prime Video計6サービスの、2020年4月26日(日)時点での情報を記載しております。

SYO

映画ライター・編集者。映画、ドラマ、アニメからライフスタイルまで幅広く執筆。これまでインタビューした人物は300人以上。CINEMORE、Fan's Voice、映画.com、Real Sound、BRUTUSなどに寄稿。Twitter:@syocinema