女性CEOが語るヴァレクストラの世界
大切にしている3つのこと

 イタリアはミラノ生まれの「ヴァレクストラ」。最高峰のレザーブランドとして君臨し、今やジュエリーコレクションも発表するほど。

 デザイン性の高さに加え、長く愛用できる頑丈さと実用性を兼ね備えたプロダクトが世界の人々を魅了しています。

 そもそも、デザインと実用性の両方を活かすことはなかなか難しいこと。それ以上に、一方を際立たせると、もう片方を諦めざるを得ない相反の関係にありそうですが……。

 2015年からヴァレクストラのCEOを務めるサラ・フェレロさんが快く答えてくれました。

 デザインと実用性は兼ねられない⁉ そんなことは決してありません!(笑)

 あなたの部屋にあるソファは「座りやすいけれど、おしゃれではない」ということはあるかしら? 家はとても素晴らしいけれど、住みにくい、なんていうことは?

 今の時代、音楽や映画、建築の何もかもがジャンルをたやすく超えて「対話」しています。日本のマンガやアニメといったポップカルチャーがいい例かもしれません。

 日本で誕生したものが国外へ飛び出し、今やファッションやアート関係者など世界中から注目を集めているのは事実。インターネットの拡充で、対話はさらに加速中。それが現代の動き、"ファッション"なんです。

 ヴァレクストラのコンセプトは、1に美、2に機能、3に頑丈であること。そもそも機能性が高いものは普遍的な、ミニマリズムな美を備えています。

 でも、私たちは「美を超える美」としてさらなる機能性や頑丈といった点をいかに加えるか。トップブランドとして常に情熱を注ぎ、試行錯誤しています。

 その解決策のひとつとして、あらゆるデザイナーたちと対話すること。これが大切なポイントになります。

 たとえば、デンマークBang&Olufsenオーディオや、照明のデザインで有名なマイケル・アナスタシアデス。彼との出会いにより、ヴァレクストラのこの新作バッグは生み出されました。

 ヴァレクストラによる最高品質のレザーと、エレガントな稜線を得意とする彼との素敵なコラボ。新作バッグは、ショルダー部分が円を幾重も描くようにしなり、手持ちの時はとても持ちやすい。

 しかもショルダー部分はマグネットによりドロップ形が軽く固定されるので、置いたときもバッグは美しいまま。これこそ、デザインと機能性の奇跡的なコラボと言えますよね。

 彼にはジュエリーもデザインしてもらっています。「フルート」というコレクションは圧倒的な工学美。もちろん機能性も高く、3連のブレスレットはチューブを好みにずらせるんですよ!

 デザイナーとの出会いによって生まれるプロダクトは、ヴァレクストラのブランドとしてのストーリーも伝えてくれます。

 私はヴァレクストラの存在がプロダクトを作るだけでなく、それらが「ブランドの語り手」として、世界中のかたがたに伝わるものに仕上げていきたいと考えています。それは、私たちにとって非常にチャレンジングで楽しいことなんです。

 最後に、私からマイケルとの物語を。

 私が彼を知ったのは、あるご自宅で彼のランプを見たときのこと。家主の注文で作られたそれは非常に大きく温かな存在感があり、あまりの素晴らしさに感嘆!「いつか、デザイナーに会ってみたい!!」と熱望していました。

 私は年に1回ミラノ・サローネの時期にアーティストのみ約100名を招待する会を催行しています。ひたすらアートや美についてだけ語る場所。そこになんとか彼を招待したい、と考え、連絡先を手に入れ、招待。やっと会うことができたのです。

 人との出会いは、貴重で素晴らしいもの。お互いをよく知り、力を尽くせば、不可能に思えそうな「美」と「機能性」「頑丈さ」は素晴らしい形できっと叶えられます! (笑)。

ヴァレクストラ

https://www.valextra.jp/

2019.12.17(火)
文=CREA WEB編集部