がむしゃらに役を生き
共演者との絆が深まった
『ギャングース』
――不遇の人生を送る3人の少年が窃盗団を組む『ギャングース』では、高杉真宙さん、加藤諒さんとともにトリプル主演を務めました。
正直なところ、この作品は主演という気持ちで演じていませんでしたし、作品を引っ張っていこうとも思っていませんでした。
社会にいろんな人が生きる中で、決して主人公になれない世界で生きる少年たちにスポットを当てた作品でもあったので、“結果、主演だった”ぐらいが、あの映画にとって良かったと思うんです。
撮影中はただただ、あの世界観の中で一生懸命生きていましたし、常にがむしゃらだったことしか覚えていません。
――厳しい撮影を通して、高杉さん、加藤さんとの結束力が強まったようですね。
架空のキャラであるタケオ、サイケ、カズキにとっても、あの瞬間は、本当にかけがえのない時間だったと思うんですよ。
でも、おっさんになっても、一緒につるんでいる3人でもないと思うんです。いずれは各々の生活に戻っていくけれど、3人が同じ指針を持って、同じ釜の飯を食った時間が重要だったと思うんです。
撮影後には、一緒にご飯にも行きましたが、その後はみんな忙しくて、3人で会うことはないですね。会えばすぐに抱きしめたくなる存在なのは確かですが、『見えない目撃者』の現場で高杉くんと久しぶりに会ったときは、なんかよそよそしかったですね(笑)。
~次回は、最新出演映画『わたしは光をにぎっている』についても語っていただきます~
渡辺大知
(わたなべ・だいち)
1990年8月8日生まれ。兵庫県出身。ロックバンド・黒猫チェルシーのボーカルとして注目され、2009年に演技未経験ながら『色即ぜねれいしょん』で俳優デビュー。2015年『モーターズ』で映画監督デビュー。主演映画『僕の好きな女の子』が公開待機中。舞台「ねじまき鳥クロニクル」(東京芸術劇場プレイハウス・2020年2月11日(火)~3月1日(日)公演予定)
『わたしは光をにぎっている』
亡き父の親友・京介(光石研)を頼りに上京し、彼が経営する都内の銭湯に身を寄せた澪(松本穂香)。都会での仕事探しに苦戦しながら、映画監督志望の銀次(渡辺大知)やOLの美琴(徳永えり)など、個性的な常連客たちと交流することで、彼女は一歩一歩成長していく。
2019年11月15日(金)より、東京・新宿武蔵野館ほか全国順次公開。
http://phantom-film.com/watashi_hikari/
(C)2019 WIT STUDIO / Tokyo New Cinema
くれい響 (くれい ひびき)
1971年東京都出身。映画評論家。幼少時代から映画館に通い、大学在学中にクイズ番組「カルトQ」(B級映画の回)で優勝。その後、バラエティ番組制作を経て、「映画秘宝」(洋泉社)編集部員からフリーに。映画誌・情報誌のほか、劇場プログラムなどにも寄稿。
Column
厳選「いい男」大図鑑
映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。
2019.11.01(金)
文=くれい響
撮影=平松市聖