
「自分の存在が何かの役に立てているのかもしれないと実感できたのは、皇室に入って初めてのことかもしれません」
皇后雅子さまは、最近、ある宮内庁関係者にこう心境を漏らされたという。皇室に入られて、26年。
令和時代の新皇后となった雅子さまは、立て続けに大きなご公務に臨まれている。そんななかでお感じになった率直な気持ちだった。

雅子さまは、外務省勤務を経て、29歳でご結婚され、皇室に入られた。
先に秋篠宮殿下(当時)とご結婚された紀子さまが大学院生だったのに対して、社会で働いた後に皇室入りされた初めてのケースであり、新しいプリンセス像への世の中の期待は大きかった。

しかし、その後の人生の半分近くは「公務の在り方」と「世継ぎ問題」などに悩むこととなり、41歳で「適応障害」というご病気になられた。療養は、15年経った55歳の今も続いている。
一時期は、雅子さまが皇后になられても「皇后美智子さま(当時)のように幅広いご活動はできるのか」といった不安の声もあった。だが今では、それらが杞憂に過ぎなかったと見えるほど、ご活動は広がっている。

今年2月の誕生日会見で、皇太子殿下(当時)は、新皇后になる雅子さまについて、次のように述べられていた。
「雅子自身もいろいろ海外での経験もありますし、このグローバル化の時代にあって、国際的な取り組みなど本人だからできるような取り組みというのが、今後出てくると思います」
5月、令和初の国賓として来日した米国のトランプ大統領夫妻を接遇された際に、早くもそのご様子は見て取れた。雅子さまの控え目ではあるが、堂々たる所作と流暢な英語でコミュニケーションを取られるお姿は、新時代を期待させるものだった。
国内メディアには雅子さまを称賛する記事が並び、海外メディアも追随した。

〈天皇陛下は英語を交え、皇后雅子は通訳なしで英語を話されたという。15分の懇談は、とても和やかなものだった〉(CNN)
〈トランプ大統領の訪日で、皇后雅子がスポットライトを浴びている〉(NYタイムス)
約10年前には〈雅子妃は公務を休むことはあっても、外出して気ままにディナーを楽しんでいる〉と穿った内容を報じる海外メディアもあった。
海外生活の長かった雅子さまには海外の友人や知人が多い。心配の声が寄せられることもあったが、ようやく元気なお姿が見られるようになって安堵している人も多いという。

2019.10.29(火)
文=友納尚子