ビルが建ち並ぶ阪急今津線逆瀬川駅周辺。そのすぐ近く、駅から徒歩3分の、幹線道路から少し入った通りに「GALLERY+CAFE muguet(ミュゲ)」はあります。
通りに面した板塀や門構えは風情たっぷり。和の佇まいですが、目印はフランス語の店名とその意味するスズランの花の洒落た看板。
門をくぐると、がらり戸の玄関に愛らしい紙風船の暖簾が揺れています。
左右には、カエルの石の置物や季節の花。お店に入る前から心が和みます。
靴を脱いで上がると、かつての8畳と6畳の座敷だった室内だけでなく、縁側にも様々なテーブルと椅子が配されており、床の間や欄間もあって、昭和の時代にタイムスリップしたよう。
「建物は、築90年。大好きな祖母が住んでいたんです」と話すのは、吉野友佳子さん。
2013年5月から、母親の世津子さんとギャラリーカフェを営んでいます。
「建物全体をジャッキアップして基礎を造り直したり、友人達に手伝ってもらって庭を大改造したり……。オープンまでたいへんだったんですよ」
床の間の横にあった押し入れ部分は、ミシン台の脚部分を使った楽しいカウンター席になりました。
天井近くの壁には日本画も架かっていて、「祖母が飾っていた絵もそのままにしています」と友佳子さんはにっこり。
店内から見える庭は緑豊か。藤や牡丹、芍薬など、季節の花が折々に目を楽しませてくれます。取材時には、紫陽花が咲き始めていました。
果樹も色々植えられていて、採れたユズやレモンはお料理やお菓子に使用。
「無農薬だから安心。たくさん実ったミカンを、お客様に収穫してもらったりもするんです」。
ギャラリースペースには、キルトの教室を主宰していたという世津子さんの作品が飾られています。
5日間単位で貸し、様々な展示が行われるのだそう。一角の格子窓も情緒があって素敵。
友佳子さんは、地元・宝塚市生まれ。学生時代からカフェが好きであちこち巡ったと言います。
「いつかカフェを開きたい」と、OLの頃にはレコールバンタンでカフェの起業について学びました。
夢がかなっての開業からは、世津子さんがギャラリーと料理を、友佳子さんがカフェの接客とお菓子を担当。
母娘によるおいしいお料理とお菓子、アットホームでどこか懐かしい雰囲気が評判になり、今ではリピーターが続出。
特にランチは予約でいっぱいの人気カフェになりました。
2019.06.23(日)
文・撮影=そおだよおこ