おやつでなく
食事としてピーナッツを

 オーストラリアでも、ピーナッツを食べると間食が減るかどうか、という研究が行なわれました。ピーナッツには満腹を感じさせる効果があって、体重管理に役立つと報告されてきましたが、実際に食生活がどのように変わるかという研究は、大変珍しいものです。

 69人の被験者を、2つのグループに分けます。一方には、1日あたり男性は84グラム、女性は56グラムのピーナッツを、12週間食べ続けてもらいます。もう一方のグループは、ピーナッツやナッツを一切食べないという実験です。

 12週間たったあと、2つのグループの役割を入れ替えて、同じように12週間の試験を行ないました。これをクロスオーバー試験といいます。

 結果を性別に分析すると、男性は、ピーナッツを食べることによって、「塩味の間食」を取る回数が減るとわかりました。「塩味の間食」にはポップコーンやクラッカー、砂糖を使わないパンなどが含まれます。

 女性は逆に、「甘味の間食」を取る回数が減ることが明らかになったのです。この研究では、ピーナッツをどのように摂ったかという調査も行われました。その結果、約25%の人が、おやつとしてではなく食事として摂ったと回答しています。私たち日本人も、もっとピーナッツを食事に取り入れていきたいものです。

ハーバード大の研究でわかった
ピーナッツで長生き!

著・井上浩義
定価1,300円+税
文藝春秋
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井上浩義(いのうえ ひろよし)

1961 年福岡県出身。慶應義塾大学医学部教授。医学博士、理学博士。九州大学理学部化学科卒業。同大学院理学研究科博士課程修了。専門の薬理学、原子力学、高分子化学のみならず「食と健康」についても造詣が深く、ナッツやえごま油など「健康によい油」の有用性研究の第一人者でもある。NHK『あさイチ』などテレビ出演多数。著書に『知識ゼロからの健康オイル』(幻冬舎)、『カカオでからだの劣化はとまる』(世界文化社)、『食べても痩せるアーモンドのダイエット力』(小学館101新書) など多数。