人気TVシリーズの映画化である『映画 賭ケグルイ』で、奇跡の復活を遂げるギャンブラー・木渡を演じる矢本悠馬。原作者からのお墨付きをもらうほどのハマリ役を獲得した彼は、なぜここまで現場で愛されるのか?
現場では常に親しみやすい
可愛らしい人でいたい
――その後も、『君の膵臓をたべたい』でのガム君役のような“愛すべきキャラ=矢本悠馬”のような流れにもなっていきます。さらに、『トリガール!』では「賭ケグルイ」へと繋がっていく英勉監督との出会いを果たします。
どの作品でも「愛されたい」とかまったく意識していないです。役の見え方のことしか考えてないです。だから、そういうキャラは後から付いてきたオマケのような感じがします。英監督は、とにかく僕の芝居を面白がって、笑ってくれるんです。それにほかの監督の作品より自由度が増している感覚もあって、どんどん監督を面白がらせたいし、想像を上回るものを見せたいという欲求が高まるんです。大人計画にいたときに、先輩から「芝居で自慰行為することも大事」と言われたことがあって、あえて自分のパフォーマンスで自分に酔うことも大切にしていて、そんな“悪ふざけ”がいちばん発揮できる場だと思っています。
――これまで学生役が多く、現場では最年長の立場が多いと思いますが、現場で心掛けていることは? また、そんななかでNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」の現場のように年上の俳優ばかりの現場で感じることは?
学園モノではできるだけ、共演者と近い距離でいたい、と心掛けています。どこかでナメられたいというか、年上がいることによる窮屈な感じを取っ払いたいんです。性格的に怒ったり、イラついたりしないんで(笑)。年下の俳優さんからもらう刺激もありますけど、自分よりも年齢を重ねて、芸を重ねている人と芝居することは貴重ですね。同じような壁にぶつかって、乗り越えてもいますから、教えてもらうことも、学べることも多いですし。常に親しみやすい、可愛らしい人でいたいという想いはあります(笑)。
2019.05.24(金)
文=くれい響
撮影=佐藤 亘