突然ですが、おしゃれとトレンドの関係は微妙なものです。旬のアイテムを身につけるのはいいのですが、あまりに流行り過ぎて誰もが同じものを着はじめると、なんとなくそれがおしゃれに見えなくなってしまうことってありませんか?

私物のパンツ。リックらしさにこだわるならレザージャケットを合わせたいところですが、私はTシャツ&ロングカーデでフェミニン寄りに

 そんな時、“素敵だけど、ひと味違う”そう思われるアイテムを持つことができると、その人らしさが光るおしゃれ上級者に一歩近づけるのではないでしょうか。

 昨年出合った、リック・オウエンスのパンツは、まさにそんなアイテム。

 ウエストゴムなのですが、落ち感のあるシルク素材とほどよいワイドシルエット、何よりも生地のバイヤス使いが脚を細く長く見せてくれます。ウエストゴムにありがちなお腹まわりのもたつきも、ゴムを2段にあしらうことですっきり解決。

バイヤスに裁った生地をさらに斜めにはぎ合わせ、秀逸なシルエットを実現。季節を問わない素材なので、真冬以外はフル活用できます

 素材は薄いシルクを2枚仕立てにした贅沢さで、透ける心配がないのに驚くほど軽やか。風をはらんで揺れる裾と独特のニュアンスカラーが、成熟したエレガンスを演出してくれるマジックパンツなのです。

 このパンツをはいていると、周りの人から「痩せた?」「今日は何かあるの?」、またブランド名を尋ねられることもしばしば。とにかく人目を惹くようで、よく褒めて頂きます。

 トレンド感満載でなくとも、こだわりの詰まったアイテム、そして自分に似合うものは、やはり魅力的にうつるもの。そんなアイテムを探し出せると、おしゃれはもっと楽しくなりそうですね。

伊藤美佐季 (いとう みさき)
イタリアへ留学後、スタイリストに。ジュエリーディレクターとしても活躍。時代の気分を反映させた着られるモードを提案。

Column

伊藤美佐季のFavorite Items

ジュエリーディレクター、スタイリストとして活躍する伊藤美佐季さんが個人的に気に入っているアイテムをご紹介!

2012.06.14(木)
text:Haruko Murakami