【BLはかわいい。】

 皆様、お気づきでしょうか? 45回を数えるこの連載には毎回必ず「BL~」ではじまる格言風のタイトルを付けています。1行で簡潔にうまいこと表現しなければ! という謎の使命感に駆り立てられて、今月はどうしよう? と頭を悩ますのですが、それでも明けない夜はないというか、必ずその作品にぴったりの言葉が降りてくる瞬間があります。

 そもそも自分はBLのどういうところが好きなんだっけ? と己に問いかけるのがコツでしょうか。そうだった、BLはかわいいんです。かわいいものが嫌いな女子なんているんでしょうか? いや、いない。かわいいもの好きのあなた、BLを読んでみませんか?

こんな話が読みたかった!
かわいいふたりのかわいい恋

 秋平しろさんの作品はどれもめっちゃかわいいですよ。中でも『エモーション!』のかわいさたるや!

 幼馴染みの一樹はすごくかっこよくてモテる。人当たりがよくて人気者でさらっと学業も優秀だ。ごく平凡な一般人の翔平は、小さい頃からそんな一樹が大好きで、それはいつしか恋に発展していた。伝えられない想いを抱え、モヤモヤする毎日を過ごす翔平の前に強力なライバルが登場。なんと美形で超大金持ちな転校生の稲荷くんが翔平に向かって「一樹をもらう」と宣戦布告してきたのだ。男同士なのに稲荷くんにはためらいがない。どうする翔平?

 「はじめから好き合っているふたりが、お互いの気持ちを告白して両想いになるまで」を描くのが少女マンガの王道だ。少女マンガから派生したBLマンガもまたこの展開に馴染みがいい。予め決められた恋人たちのすったもんだは、何度読んでもなんと甘美なことでしょう。

『エモーション!』(全1巻) 秋平しろ

「親友の桜井一樹が好きすぎてやばい」……高校2年生(16歳)の坂本翔平は、小学1年生のときに出会った、幼馴染みで同級生の一樹に片想い中。お互いの言動に一喜一憂するふたり。男子校生のラブコメはお菓子より甘い。思春期、万歳!
新書館 650円
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福田里香(ふくだりか)
お菓子研究家。CREAで「R先生のおやつ」も連載中。『まんがキッチン おかわり』(太田出版)と文庫版『まんがキッチン』(文春文庫)が好評発売中。

Column

BLマンガ基礎講座

BLはボーイズラブの略。ざっくり定義を述べると「主に女性の読者に向けて描かれた男同士の恋愛をテーマにした作品」。実は名作が満載のこのジャンル、食わず嫌いはもったいない!

2017.11.03(金)
文=福田里香

CREA 2017年11月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

やっぱり行きたいね、京都。

CREA 2017年11月号

やっぱり行きたいね、京都。

定価780円

鴨川べりの散歩道、かくれ家カフェに、しみじみおいしいごはん処――。忙しい日々の中でふと戻りたくなる町、京都。混んでいると聞いて最近少し足が遠のいていた人も、町が赤や黄色に色づく季節だから、久しぶりの京都旅にでかけませんか? 紅葉の隠れ名所に、外れなしのごはんリストなど、盛りだくさんの1冊になりました。