【麻実くんはガチ恋じゃない!】
マンガやアニメ、ゲームを原作とした演劇のことを「2.5次元」と呼びます。
2003年初演のミュージカル『テニスの王子様』が大ヒットしたことが火付け役です。
マンガ原作だったことから、2次元(マンガ)と3次元(現実)の間に成り立った奇跡の再現性を絶賛するという意味合いで、観客側から自然発生的に2.5次元と呼ばれだし、一般にも定着しました。
2.5次元の舞台は今や大人気。去年の紅白に、オンラインゲーム発の舞台『刀剣乱舞』のキャスト・刀剣男士たちが出演したことも記憶に新しいですね。
2次元の舞台化が軒並みヒットしたことで、舞台俳優から芸能界を目指す男子も増え、いまや舞台俳優沼と呼ばれるコアなファン層も存在します。
ひととせはるひさんのラブコメ『麻実くんはガチ恋じゃない!』は、舞台俳優と男子ファンそれぞれの想いを描いた作品で、BL&舞台入門にうってつけ。
ある日、皆川麻実くんは姉の趣味に嫌々つき合って舞台を観に行く。
期せずして脇役で出ていた若手俳優の高良 涼の演技から目が離せなくなってしまい、気がついたら高良さんは麻実くんの生き甲斐、”推し”になっていた。そして高良さんも麻実くんの応援を密かに励みにしていたのだった。
そんな中、遂に駅のホームで接近遭遇する両者。俳優とファン、難しい問題もはらんだふたりの関係。さあ、一体どうなるの?
ストーリーマンガと4コマギャグが入り交じった構成は、圧倒的に読みやすく、舞台オタの日常生活やお作法、萌えツボなどが、4コマのオチとして紹介されていて、楽しく学べるのもうれしい。
実際の舞台を観に行きたくなります。
『麻実くんはガチ恋じゃない!』(既刊2巻)
投稿サイトpixivで、ブックマークが2万5,000超えの人気作。大学生の皆川麻実の推しは舞台で活躍する若手俳優の高良 涼。女子ファンに埋もれてひっそり応援していたが、実は高良も麻実を認知していて!? 舞台オタあるあるギャグに爆笑必至。
ひととせはるひ KADOKAWA 620円
福田里香(ふくだりか)
お菓子研究家。『R先生のおやつ』(文藝春秋)、『まんがキッチン おかわり』(太田出版)、文庫版『まんがキッチン』(文春文庫)が好評発売中。
Column
BLマンガ基礎講座
BLはボーイズラブの略。ざっくり定義を述べると「主に女性の読者に向けて描かれた男同士の恋愛をテーマにした作品」。実は名作が満載のこのジャンル、食わず嫌いはもったいない!
2019.04.11(木)
文=福田里香