【BLは獣人たちの恋愛も描く】
前にも書きましたが、定期的に「そもそも自分はBLのどういうところが好きなんだっけ?」と己に問いかけるのですが、そのたびに「そうだった、BLはかわいいのだ。好き♡」と初心に戻るのでした。
インターネットのSNSの発達は、イコール全世界的な動物のかわいさの発見の歴史となりました。
「ネコって超かわいい!」を最たるものとして、イヌはもちろん、コツメカワウソやハシビロコウ、アルパカなど、人類は次々にかわいい動物を認定し続けています。
また、マンガやアニメ、ラノベ界隈では獣の耳の略語「ケモミミ」なる新語が転じて、擬人化、獣人、亜人が登場する作品のジャンル名として定着しました。
BLも例外ではありません。見事な造形力で獣人たちの恋模様を描いた『ウィズダムズのけものたち』からBL入門しませんか?
作者のながべさんは生粋のケモナー(ケモノ萌え属性のヒト)で、本書ではその萌えパワーが開花。
舞台は森の中に人知れず存在する“ウィズダムズ魔法学校”です。そこは知性ある獣人たちが共に暮らし、さまざまなかたちの恋を体験する学び舎。
登場する獣人はカラスやネコ、ウサギなどの身近な動物から、ドラゴンやユニコーンといった幻獣まで多様で、これでもかとかわいく、かっこいい。その画力に圧倒されます。
さらに物語には、モチーフとなった動物の特徴や生態、習性、関係性が織り込まれていて、深く惹き込まれます。
モフモフ系のアカシカと変温動物のトカゲ、タイリクオオカミとヤギのカップルの恋の行方なんて、気になり過ぎますよね。どのカップリングもかわいくて心から癒されます。
『ウィズダムズのけものたち』(全1巻)
リアルな筆致とユーモラスな視点で描いた異種族たちのファンタジーBL。ネコとノウサギ、ユニコーンとグリフォン、年の差ドラゴンズ、アカシカとトカゲなど、ウィズダムズ魔法学校に集う多様な獣人たちの恋をオムニバスで描く珠玉の短篇集。
ながべ 茜新社 1,200円
福田里香(ふくだりか)
お菓子研究家。『R先生のおやつ』(文藝春秋)、『まんがキッチン おかわり』(太田出版)、文庫版『まんがキッチン』(文春文庫)が好評発売中。
Column
BLマンガ基礎講座
BLはボーイズラブの略。ざっくり定義を述べると「主に女性の読者に向けて描かれた男同士の恋愛をテーマにした作品」。実は名作が満載のこのジャンル、食わず嫌いはもったいない!
2019.01.21(月)
文=福田里香