フラックス=亜麻についての
理解が深まる博物館へ

「テクスチュール/フラックス産業とレイエ川ミュージアム」の前にはフラックスが植えられている。

 前述の通り、コルトレイクは繊維産業で発展した町。とくにフラックス(亜麻)はコルトレイクにはなくてはならないものとなっている。フラックスは、繊維だけではなく、日本でもこのところスーパーフードとして注目されているフラックスオイル(亜麻仁オイル)の原料でもある。

 そんなフラックスを知るために「テクスチュール/フラックス産業とレイエ川ミュージアム」を訪ねた。

 2014年にリニューアルオープンしたミュージアムは、広場や市庁舎がある町の中心からレイエ川を挟んだ対岸にある。正面入り口前には麻が植えられていて、まるでミュージアムの前に畑があるかのような趣だ。

 ちなみに、フラックス(亜麻)の茎の繊維から作られた織物をリネンと呼ぶ。ラミー(苧麻)、ヘンプ(大麻)、ジュート(黄麻)とリネンとでは品種が異なる。色に染まりにくかったり、しわになりやすかったりという反面、汗を吸いやすく、熱がこもらない独特の風合いに根強い人気がある。

館内にはフラックス製品を作るために使われた木製の古い機織り機や工具類も展示されている。
フラックスの繊維。実際に触ることもできる。

 館内には古い機織り機などが展示されていて、フラックスの繊維作りの歴史を知ることができるだけでなく、現在作られているさまざまな製品が展示され、実際に触ったり、フラックスの種から搾取されるオイルを試食したりすることができる。

 リネンを使ったレース製品の展示フロアもあり、その職人技はため息がでるくらい美しい。

さまざまな繊維に実際に触って感触の違いを知ることができるコーナー。手前の「LI」がリネン(麻)だ。
レース製品が展示されているフロアは必見の美しさだ。
ミュージアムショップで販売されているフラックスオイル。

 現在では化学繊維に取って代わられがちな麻製品だが、近年のナチュラル志向に伴い再び注目されているという。ミュージアムショップではフラックス繊維の製品やフラックスオイルを購入することもできる。

 ちなみに、フラックスオイルは地元のスーパーにもあり、日本よりもかなり安価で購入できるのでお勧めだ。

コルトレイク郊外を移動する途中でフラックス畑を見つけた。
フラックスの花。淡い紫色をした小さくてかわいい花だ。

Texture, Museum of Flax and River Lys
(テクスチュール/フラックス産業とレイエ川ミュージアム)

所在地 Noordstraat 28, 8500 Kortrijk
電話番号 056-27-74-70
http://www.texturekortrijk.be/

2017.08.17(木)
文・撮影=たかせ藍沙