海抜2240メートルの高原盆地に位置する、メキシコの首都メキシコシティ。人口約2000万人というこの巨大都市から北へ向かう旅で出合うのは、カラフルな街並みや民芸品、ワインにメキシカングルメ……。歴史と現代が融合するメキシコ中央高原への旅は、発見と感動に満ちていた。

 賑やかなメキシコシティ国際空港から、アエロメヒコ航空の国内線を乗り継ぎ、約1時間。グアナファト・レオン(バヒオ)空港の周辺にはゆったりとした時間が流れている。ここからさらに、車で北西に向かって走ること約30分。車窓から、メキシコでもっとも美しいと称されるグアナファトの街並みが顔を覗かせる。

 今回は、この美しい街の楽しみ方を紹介しよう。

山の斜面に色とりどりの家屋が立ち並ぶ、なんとも愛らしい光景。外壁に明るいカラーを塗るのは、太陽の日差しを跳ね返すための工夫なのだそう。

 かつては銀の採掘で栄え、1810年以降にはスペインからの独立戦争の激戦地ともなったグアナファト。街を歩けば、今でも至るところに、歴史の面影を垣間見ることができる。

かつてスペイン軍が籠城していた「アロンディガの穀物倉庫」。独立戦争の英雄、ピピラがたいまつを片手に中央の扉を突破し、独立の足がかりを作った。
グアナファト市内でよく見かける小さなトンネル。これは、かつて洪水対策のために作られた地下水路で、現在は車道(一部歩道)として、市民の生活に活かされている。

 1988年に「古都グアナフアトとその銀鉱群」としてユネスコ世界遺産に登録された、まるで芸術品のようなコロニアルな街並みは、1日あれば、歩いてほぼ全域を散策することができてしまうミニマムなサイズ感。カラフルな建物を眺めながら、いくつもの小道が入り組む通りを、この街ならではの悠々とした時間の流れに身を任せながら散策してみたい。

2017.07.08(土)
文・撮影=中山理佐