vol.24 神戸(兵庫県)
3ツ星シェフが新しく料理長に
神戸異人館街の「グラシアニ邸」は、フランス人の貿易商グラシアニが100年前に建てた洋館である。白亜のコロニアル調の2階建てで、一度焼失したが、見事に復元されて、現在はフランス料理店となっている。
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2階のダイニングからは、神戸の街を見下ろせる。まだビルなど建っていなかった時代には、2階のテラス席から港が一望でき、グラシアニ夫人は、夫を乗せた船が港に入ってくるのを確認するや、馬で港に駆けつけたという。
神戸には数多くのフランス料理店があるが、これほどまでに神戸という町の歴史を背負っているレストランはないだろう。
現在のレストラン「ラ・メゾン・ドゥ・グラシアニ」は、今年に入って、スイスの「シュバル・ブラン」出身の鷦鷯(ささき)進シェフに代わられた。鷦鷯シェフは、「シュバル・ブラン」のスーシェフとして、同店をミシュランの星なしから3ツ星までに格上げするのに貢献した料理人である。
そこで、新たな「ラ・メゾン・ドゥ・グラシアニ」を体験するべく出かけてきた。
いただいたのは、12皿からなるコース。ほとんどのメニュー名が、食材だけか食材と調理法だけしか書かれていない。この簡潔さが、逆に期待を膨らませて、楽しい。
ショープレートは皿ではなく、この館の歴史を伝えるステンドグラスの置物である。
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アミューズは、尾長鯛のタルタル、みる貝、コルネに詰めた毛ガニのマリネなどで、食欲を刺激する。
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タコの薄切りを円盤状に寄せ固めて、トマトジュレを添えた「タコのカルパッチョ」、泡仕立てにしたホワイトアスパラガスの中にホタルイカを忍ばせ、カラスミで塩分を補った小皿へと続く。ホワイトアスパラガスのエスプーマ仕立ての皿は珍しくはないが、何より香りの生かし方がよく、ホタルイカの旨みと合わさって、春を意識させる。
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次の皿は、サヨリのフリットを添えた、グリンピースのフランとカエルのソテである。グリンピースの優しい甘みがカエルの淡い滋味をと出会い、気分を穏やかにさせる。その中に微かな酸味が隠されている点が心憎い。
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「びっくりコロッケ」と題された皿は、神戸っ子のソウルフード「たこ焼き」。見た目も中の具も生地もたこ焼きと同じであるが、味付けに工夫があって、エレガントが漂う。
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2017.06.08(木)
文・撮影=マッキー牧元