ビストロの味をキッシュでテイクアウト

 神戸市中央区の北野町、山本通には、明治時代から昭和初期に建てられた洋風建築、いわゆる異人館が数多く残っています。各線の三宮駅から歩くと、坂道がどんどん急になり、公開されている異人館が点在。お洒落なショップやカフェ、レストランもあって、多くの観光客でにぎわっています。

神戸名物「そばめし」のキッシュ 450円(写真左) キッシュ・ロレーヌ 400円(写真右)

 そんなエリアにあるフレンチレストラン『BISTRO 近藤亭 北野坂』。ソムリエの資格を持つご主人・近藤弘康さんは、芦屋『ビゴの店』やワインショップなどで働き、元町でビストロを開業。2004年に北野へ移転してからも、観光客だけでなく、食いしん坊の神戸っ子の人気を集めているお店です。そんなビストロの姉妹店として、2007年にオープンしたのが『神戸・近藤亭 Quiche ya きっしゅや』。その名のとおり、キッシュの専門店です。

左:三宮駅を降りて北野坂を上ること約8分で到着
右:この看板を見ると、キッシュが食べたくなる!?
ショーケースには、おいしそうなキッシュがずらり!
店主の近藤弘康さん

 お店のショーケースには、20種余りの円型で小ぶりなキッシュがずらり。

「キッシュを器にして、ビストロのお料理を持ち帰っていただきたくて始めました」と近藤さんはにっこり。「坂道を上ってせっかく来店していただいても、満席でお断りすることが多かった。お料理の持ち帰りができたら、喜んでいただけるかなと考えたんです。ビストロでは、直径21cmの大きなキッシュ・ロレーヌを焼いて、カットして出していました。フランスへ旅した時、列車の食堂で小さいキッシュが出てきて、いいなと思ったんです」。

 日本では、キッシュはパン屋や洋惣菜屋でよく売られていますが、ベーコンとホウレンソウやきのこなど、定番の、ごく限られた種類がほとんど。「ビストロがやれば、もっと多彩な味のキッシュができる」と近藤さんは考えたのです。

 小さなキッシュ生地を一度焼いて、牛ほほ肉の赤ワイン煮込みや鶏もも肉のパロワーズ、ラタトゥイユなど、ビストロで出している本格的な料理を入れて、もう一度焼いて仕上げてみました。作るのに3日もかかる、ビストロならではのとびきりおいしいキッシュ。しっかりしたお料理を小さなポーションで食べている感じ。「手でも食べられるカジュアルさもいいでしょう!」。

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2013.11.24(日)