温かいものを、最高の瞬間に食べてほしいから

 お口直しにバジルのグラニテをいただき、いよいよお肉の登場です。

キッチンから漂うお肉の香りを感じながら。

 すべてのステーキは、塊のまま炉釜で。

 70度の低温で1日半かけて焼きあげたランプが、「早く食べて」と訴えかけてきます。

 みんなの熱い視線を浴びながら、カウンターで切り分けられたお肉は各人のもとへ。

ジューシーの一言で済ませるのは申し訳ないほどの肉汁があふれる。

 それぞれの目の前に、薬味がのった皿をセッティング。顆粒状の醤油、ゲランドの塩、オニオンマーマレード、ホースラディッシュ、タスマニア産の粒マスタード。

 どれもがメインのステーキを高めてくれる最高の薬味。

サイドディッシュのモロッコインゲンも箸休めにいいんだな。

 食べ終わるやいなや、ほどよく切り分けられた1枚がサーブされます。お代り肉ですか!

 1人1枚と思っていたところに、うれしいサプライズ。

 「大きなカットの肉がドーン! と来られても、お皿の上で冷めちゃうじゃないですか。せっかくの肉だもの、温かく、おいしい状態で召し上がっていただきたいんです」

 す、すばらしい! ……と感動に浸る間もなく、小鹿が切り分けられました。

 美しい紅。これがまた驚愕の火入れ。ごめんなさい、下手なジビエレストランよりも上かも。

 これも、お腹に余裕のある人にはお代りがふるまわれました。予算的に大丈夫なんですか?

 「おいしく食べてくださるかたには、ついついサービスしちゃうんです(笑)」

藁焼きした小鹿は、香りもすばらしく、うっとり。赤ワインが進みます。

 いくらなんでもこれで終わりと思いきや、「今日はもう一品いきましょう」と言う大山さん。

 囲炉裏を使ってのすき焼きですって。

使用する肉は、神戸牛と栗だけを食べて育った和栗豚(わぐりとん)。

 しかも普通のすき焼きとは違います。まずは、特製の割り下&ダシが入った鍋が登場。

 しかし、全然グラグラいわないんですが?

この割り下もいい香り。お腹が空いていたら(いや、いなくとも)これだけでごはんがいけそう。

 「低温すき焼きです。ここに肉をくぐらせ、さらに網焼きします」

 それは、新しい!

目の前のパフォーマンスをじっと見つめる私たち。その視線に動じぬ大山さんはさすが。

 卵の黄身を出汁で割って練り上げた“スペシャル玉子液”につけて食べるという、前代未聞の逸品。トリュフの香りもします。小さいごはんも付いてきます。

 「そのままTKGみたいにして食べてください」

 いや~、贅沢すぎますよ。

炭の香りが肉に移り、なんともいえない薫香が。これもお代りしたい。

 デザートのキャラメルのアイスクリームをいただいてほっとひといき。

フローズン化したクリーム添え。最後まで芸が細かい。

 “見せるだけ”の劇場型ではなく、さまざま意味で“魅せて”くれる、あもん ヨコ。

 今後はもっとこの囲炉裏を活用したメニューをクリエイトしていきたいというから、さらに期待が高まります!

あもん ヨコ
所在地 東京都豊島区池袋2-69-1
電話番号 03-5927-1592
営業時間 18:00~22:00(L.O.)
定休日 不定休
予算 夜 6,000円~
[2016年11月訪問]

Keiko Spice(けいこ すぱいす)
東京都生まれ。得意なディスティネーションはハワイと香港。普段は3日に1回のペースで焼肉を中心とした食生活。別名「肉の妖精」。

Column

新店来訪! 美味しい出合いに一番乗り

ニューオープン、シェフやメニューが変わった店、面白い企画を立ち上げた店……などなど、なにかと「新しい」店を一番乗りで紹介するページ。「美味しい出合い」にご注目ください!

2016.12.19(月)
文・撮影=Keiko Spice