造りつづけるのは1種類のピルスナーだけ

「スチーム・ホイッスル・ブリューイング」は、電車庫を修復して造られた。

 3人の若者たちの志はただひとつ「Great Beer」を造ること。オランダのハイネケン、メキシコのコロナ、アメリカのミラーのように、「カナダを代表するブランドになろう」と思ったという。そして、世界一のピルスナーにするために、造るビールは1種類のみ。

 彼らが1998年に創業した「スチーム・ホイッスル・ブリューイング」は、夏も冬もレシピはただひとつだけを使う。使用しているのは、1842年に公開されたピルスナーのオリジナルレシピ。伝統的なレシピを守りつつ、品質を上げてきた。

 彼らが造るビール、スチーム・ホイッスル・ピルスナーは、今ではカナダ全土に出荷されている。ブランドカラーのグリーンのボトルは、カナダでもっとも親しまれているビールのひとつとなった。16人だった従業員は100人以上となり、彼らのビールは、ナショナルブランドに匹敵する存在となりつつあるのだ。

建物に入ってすぐにオリジナルグッズのショップ、そしてカウンターがある。

 「スチーム・ホイッスル・ブリューイング」があるのは、トロントの観光名所のひとつ、CNタワーの目と鼻の先。まるで倉庫のような巨大な建物と、その間にある電車のターンテーブル……。

 そう、彼らが本拠地とする建物は、もともと電車庫だったのだ。1986年に閉鎖となった後、たったの1ドルで買い取ったのだという。屋根は造り直したものの、それ以外はオリジナルの建材を組み立て直した。

左:さっそく、スチーム・ホイッスル・ピルスナーのテイスティング!
右:カウンターの奥にあるブリューカフェ。

 建物の中に入ると、オリジナルグッズの販売コーナー、そして、ブリューカフェがあった。ここでいきなりテイスティングが始まった(笑)。タップから注がれた造りたてのスチーム・ホイッスル・ピルスナーは、クセがなくホップのアロマが効いていて飲みやすい。

 この大きな建物を最大限に生かし、醸造所内の見学ツアーをはじめ、年間250回ものイベントを催している。訪れる観光客は年間15万人に上るという。

左:ビール醸造所内の見学はワイヤレスのイヤホンを装着してから。
右:全ての醸造工程が渡り廊下から見えるようになっていて、各機器に説明が書かれたグリーンのボードが掛けられている。

 さっそく見学ツアーに参加した。醸造所内は騒音が大きいので、ガイドの方の声が聞こえるようにワイヤレスのイヤホンを装着する。見学者のための渡り廊下が配されていたり、要所ごとに説明ボードがかけられていたりして分かりやすい。

左:こちらは箱詰め作業。外箱もブランドカラーのグリーンだ。
右:この日のランチはハンバーガーとポテトチップ。ビールとベストマッチなランチだった。

 見学ツアーを終えたところで、ロフトスペースにある部屋で、創業からの軌跡など綴ったビデオを観てからランチとなった。ついさっきチーズやサラミをたらふく食べたばかりだけれど(笑)。そして、もちろん、スチーム・ホイッスル・ピルスナーとともに。お腹が空いていなかったのに、ビールとハンバーガーのペアリングが秀逸で完食してしまった。

 カナダのクラフトビールは日本では馴染みが薄いけれど、ていねいに、情熱を持って造られていてほんとうに美味しい!

Steam Whistle Brewing
(スチーム・ホイッスル・ブリューイング)

所在地 255 Bremner Blvd, Toronto, Ontario M5V 3N9
電話番号 416-362-2337
http://steamwhistle.ca/

【取材協力】
オンタリオ州農水省

http://www.investinontario.com/food

たかせ藍沙 (たかせ あいしゃ)
トラベル&スパジャーナリスト。渡航140回超・60カ国超、海外スパ取材230軒超、ダイビング歴800本超。日々楽しい旅の提案を発信中。著書は『美食と雑貨と美肌の王国 魅惑のモロッコ』(ダイヤモンド社)、薔薇でキレイになるためのMOOK『LOVE! ROSE』(宝島社)など。楽園写真家・三好和義氏と共著の『死ぬまでに絶対行きたい世界の楽園リゾート』(PHP研究所)が4刷、台湾版も好評につき、中国版出版! 第2弾『地球の奇跡、大自然の宝石に逢いに… 青の楽園へ』好評につき、こちらも中国版出版制作中! 『ファーストクラスで世界一周(仮題)』2017年春刊行予定。
Twitter https://twitter.com/aisha_t
ブログ http://ameblo.jp/aisha
「たかせ藍沙のファーストクラスで世界一周」Facebook
https://www.facebook.com/WRT.by.FirstClassFlight