オンタリオの食産業を支える熱き学生たち
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アメリカに隣接しているナイアガラ地方と、その隣のハミルトン市。ここには、アメリカ国民の膨大な胃袋を支える飲料、食料の巨大な工場がいくつもある。
アメリカブランドのビールもカナダの巨大ブリュワリーが下請けして醸造していたりするのだ。大量生産された製品は、地の利を生かして、車、鉄道、船で国境を越えてアメリカへ、そして空路でヨーロッパへと輸出されている。
そんなナイアガラ地方には、食産業を支える人材育成に特化した大学がある。ナイアガラ大学だ。3つの市にある3つのキャンパスのうちのひとつ、オン・ザ・レイク校を訪ねた。
ここには、カナダ食品ワイン研究所があり、食品、ワイン、ビールに特化した教育、研究を行っている。科学的・学術的な内容から、接客サービスまで、食品・飲料・飲食産業のすべてを学ぶことができるのだ。オンタリオ特集第3回でご紹介した「レフト・フィールド・ブリュワリー」のビール醸造家、オースティン・ローチさんが学んだのもこの大学だ。
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入り口を入ると、まず目に入るのは円形のスタイリッシュなカウンター。その先の商品棚にはカナダワインがずらりと並んでいる。ガラス窓の先はブドウ畑だ。まずは、ワイングラスが配られ、テイスティングしながら説明を聞くことになった。並んでいるワインの中には、校内で造られたものもある。カウンター内で接客をしている若者たちも学生だ。
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校内には、小さな熟成タンクが並ぶ「ティーチング・ワイナリー」、醸造タンクが並ぶ「ティーチング・ブリュワリー」を始め、ブドウ畑、ホップ畑、野菜・果物の栽培を研究している温室や、各種化学研究室が整い、世界各地からの留学生も受け入れている。日本からの留学生もいるという。
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ひと通り校内を見学してからレストランへ。校内で造られたワインとビールをテイスティングさせていただくことに。
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右:チーズもジャムも学生たちが学びながら造ったもの。こちらも本格的だ。
テーブルに出されたチーズも校内で作られたものだし、それらをテーブルに運んでサービスしてくれるのは学生たちだ。どれもプロの味だし、チーズを持ってきてくれた学生に質問すれば、それぞれのチーズの違いをしっかり説明してくれる。ここで熱心に学ぶ学生たちが世に出て行く日がなんとも楽しみだ。
Niagara Collage Niagara-on-the-Lake Campus
(ナイアガラ大学オン・ザ・レイク校)
所在地 135 Taylor Rd, Niagara-on-the-Lake, Ontario L0S 1J0
電話番号 905-735-2211
http://www.niagaracollege.ca/
2017.01.26(木)
文・撮影=たかせ藍沙