これがイポーのもやしだ!

名物と謳われるわりに地味なルックス。

 これがイポーで評判の店の、もやし料理。ゆでたもやしに、醤油と香味油をからめただけのシンプルな一皿。一見、いつもの「もやし」ですが、よく見ると、もやしが短い! 太い!

 そして一口食べてみたところ……想像を超えるシャキシャキ感と、甘みが口いっぱいに広がって、うまいっ! 一皿のもやし炒めに、同行ツアー客10人全員が驚きの声。もやしにこんなポテンシャルがあったなんて! と、衝撃のもやしでした。

太くて短いイポーのもやし。イポーには「もやしっ子」という言葉はないに違いない。「かさ増し野菜」なんて言っちゃって、ごめんなさい! あなたは立派な主役です。
ちなみに日本のもやしはこれくらいの大きさ。

 ところで、イポーのもやしはなぜおいしいのか?

 前述したように、もやしの成分のほとんどが水。イポーの山々は石灰岩でできており、降った雨が地下水になるまでに、ミネラルをたっぷり含み、おいしい水になるのだそうです。さらにもやしは日持ちがしないので、イポーの町以外ではなかなか食べられない。そんなわけで水が命で消費期限が短いもやしは、イポーの名物となりました。

ツアーでは、もやしがおいしい理由を探るべく、もやし工場にも足を延ばした。

 もやし工場では、24時間体制でもやしを育てていました。ドラム缶のような円柱形のタンクにもやしの種を入れて発芽させ、その後は3.5時間に一度、地下水をざぶざぶ与えます。夜中も交代制で水を与え続け、6日間くらいで出荷できるところまで育つのだそう。この光景を見て「もやしの成分のほとんどが水」ということを納得。そして、おいしい水が美味なるもやしを作る、ということを実感したのでした。

水を与え続けると(写真上)……出荷する前までにこんなに育つ(写真下)。

 イポーをガイドしてくれた頼さんは、今はクアラルンプールに暮らしますが、イポーに帰ってくると必ずもやしを食べるのだそうです。なんて贅沢な故郷の味! そして、「マレーシアには“吃在怡保(おいしいものはイポーにあり)”という言葉があるくらい、イポーは美食の町として有名なんですよ」と教えてくれました。

ちなみにイポーは鶏肉料理「イポーチキン」も名物。もやしと一緒に食べることが多いので、「タウゲ(もやし)アヤム(鶏)」という料理名で提供するお店もあるのだそう。

 旅を終えて1カ月を過ぎてなお、「あのもやしを食べに、またイポーに行きたい!」と思わせる、魅惑のもやし。読者のみなさんにもぜひ、体験してほしい!

●もやし料理を食べたお店
老黄芽菜鶏/Low Wong Tauge Ayam(ロウ・ウォン)
所在地 49, Jalan Yau Tet Shin, Ipoh, Perak 30000

おまけ情報:東京に、イポー出身の女性が営むマレーシア料理店があります。消費期限の短いイポーのもやしは食べられませんが、食都イポーのおいしい家庭料理をいただけるお店です。紹介記事はこちら!
» 「荻窪の地下で16年のマレーシア料理店 ディープな人気ごはんベスト3」

Column

マレーシアごはん偏愛主義!

現地で食べたごはんのおいしさに胸をうたれ、風土と歴史が育んだ食文化のとりことなった女性ふたりによる熱烈レポート。食べた人みんなを笑顔にする、マレーシアごはんのめくるめく世界をたっぷりご堪能ください。

2016.11.13(日)
文・撮影=CREA WEB編集室