ブドウの搾りカスは何に使われる?

収穫したブドウをすぐに果汁を搾る機械に入れる「シャトー・ラ・ヴェリエール」は、日本に15万本も出荷している。

 ローマ時代からワイン造りの歴史が始まるボルドー。数々のボルドーワインが日本でも売られていて飲む機会もあったが、どこか、シャトーで伝統の方法によって醸造している高級ワインというイメージに縛られていたように思う。

「これを日本で売っています」と語る「シャトー・ラ・ヴェリエール」のオーナー、アラン・ベセットさん。

 だが、規模や造り方も異なり、いろんなシャトーを回れば、ワインの味の多様さにも驚かされる。そして、現地のシャトーで買えば、5ユーロ程度でも良質なワインに出会える。ボルドーは伝統的には、長期に保存して飲み頃に開けるというスタイルだったが、今は、早く開けて気軽に楽しむワインというトレンドに合わせた物が多くなってきている。日本のショップで気軽に買えるボルドーワインを造っている生産者にも会えた。

左:まさに今が収穫時期というブドウ畑の前で話をしてくれた「ドメーヌ・デュ・クラウゼ」のダヴィド・シオザールさん。
右:赤・白ワイン用のブドウは、収穫して一晩置くが、ロゼはすぐ搾ってジュースにする。搾りカスは取り出して回収業者へ。

 1850年から続く「ドメーヌ・デュ・クラウゼ」の6代目ダヴィド・シオザールさんは「赤以外にも白、ロゼ、クレマン(発泡ワイン)などマーケットに合わせていろいろ造っていて、うちは65%が輸出で日本にも出しています。畑に芝生を植えるなど、環境に優しいサステイナブルを意識したワイン造りをしています」と語る。

 ボルドーでは、ブドウの搾りカスは回収業者に渡し、蒸留してスキンケアや医療用に使うよう義務づけられてもいるという。

「ドメーヌ・デュ・クラウゼ」の洒落たテイスティングルーム。

 すべてのシャトーに共通して言えるのは「ワイン愛」。

 テイスティングはどのワインを買おうかという試飲の場なのだが、「この年(ヴィンテージ)は、最初は天気が悪かったけど、開花の時期によくなったんだよ」「こちらは新鮮さを楽しんでほしいけど、もう一つはちょっと寝かせて深みを持ってからがいいんだよ」と我が子のようなブドウを育てた環境やワインの出来についてあれこれ話してくれる。そして、同じシャトーの同じセパージュ(ブドウ品種)のワインでもヴィンテージが違うだけで個性も変わる。

 緑の美しいボルドーでのシャトー巡りは、自分の好みのワインと出会う一期一会の旅だった。

【取材協力】
AOCボルドー&AOCボルドー・シュペリュール醸造家組合

http://www.planete-bordeaux.fr/

ボルドー・スウィート・ワイン連盟
http://en.sweetbordeaux.com/

在日フランス大使館 貿易投資庁-ビジネスフランス
http://www.youbuyfrance.com/jp/

小野アムスデン道子 (おの アムスデン みちこ)
ロンリープラネット日本語版の立ち上げより編集に携わったことから、ローカルグルメや非日常の体験などこだわりのある旅の楽しみ方を発信するトラベル・ ジャーナリストへ。エアライン機内誌、新聞、ウェブサイトなどへの寄稿や旅番組のコメンテーター、講演などを通して、次なる旅先の提案をしている。
Twitter https://twitter.com/ono_travel

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2016.10.13(木)
文・撮影=小野アムスデン道子