和歌山県北部の海南市は、古くから熊野詣への要衝として栄えてきた土地。今は、大阪市内から車で約1時間で到着です。
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訪れたのは、その名も「3時のかんぶつ屋さん」。乾物を使ったお菓子があると聞いて、ずっと気になっていたお店でした。
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右:お店の入り口。
阪和道海南ICから和歌山方面に約1分。倉庫の端にお店を発見。中に入ると、乾物とお菓子がずらりと並び、奥の厨房には大きなオーブンが置かれて、お菓子を焼く甘い匂いが漂っています。
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「子供からお年寄りまで、広く長く乾物に親しんでもらいたくて、おいしいおやつを色々工夫して作っています」
店主の野田智也さんは、1976年生まれ。大学卒業後、銀行員をしていましたが、29歳で、1949年に祖父が創業した食品卸売会社・野田商店に入社。扱っている乾物について勉強し、かんぶつマエストロの資格を取得。それだけにとどまらず、「栄養や天然の旨みをたっぷり含み、健康にも良い素材・乾物を、世代を超えて愛されるスイーツにして提供しようと考えたんです」。今までにない乾物を使ったお菓子作りにチャレンジし、2011年11月23日に「3時のかんぶつ屋さん」をオープンさせました。
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「乾物の需要は減っています。見た目が地味で使いにくいと思われていますし、子供は全く喜ばない。乾物を明るいイメージにして、若いお母さんとその子供達に伝えたい。そうしないと、乾物という食文化が残りません。そこでとりあえず、乾物スイーツにして食べてもらおうと思った。姿や形を変えてでも子供に食べさせることが大切です。大人になってから、幼少期に食べた記憶を思い出して食べようと思ってもらえたら、生涯の健康につながるから。
そして、子供達だけではなく、お父さんにはメタボに、お母さんにはダイエットに、おじいさんやおばあさんには長寿食として、乾物スイーツを食べてもらえたら(笑)」
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2016.08.14(日)
文=そおだよおこ
撮影=上田浩江