特に夏場はただでさえ暑いのに、加えてホットフラッシュが起きるので、汗は怒濤のごとし。これから出かけようというときに顔にファンデーションを塗っている横からどんどん汗が噴き出して、どうにもお化粧が進まない。

 汗を拭いたりファンデーションを塗ったりを繰り返し、とうとう扇風機の前で風に当たりながらなんとか仕上げる、なんてことが常でした。

 私の更年期障害はホットフラッシュが主でしたが、同世代の人の話を聞くと、めまいとか、倦怠感で何もする気が起きないとか、人に会いたくないとか、怒りっぽくなるとか、さまざまです。

 つまり、女性ホルモンが急激に減少して自律神経のバランスが崩れるために、身体のあちこちに不調が生じるということなのでしょう。更年期障害は女性に限らず男性にも起こると言われていますが、やはり女性の更年期障害の悩みのほうが圧倒的に多い印象があります。

 私も精神的に不安定になったことが何度かありました。怒りっぽいのは昔からなので、以前と比べてさらに怒りっぽくなったかどうかはよくわかりませんが、驚いたのは、突然、泣き出すという現象が起きたことです。

ご婦人の言葉に思わず号泣

 あるとき、これも暑い夏の日でした。必死の思いで汗と闘いつつお化粧をして、出かけるためにマンションの機械式駐車場に向かいました。私の前に、車が出てくるのを待っているご婦人がいらっしゃいました。顔見知りではないけれど、目が合ったので「こんにちは」と会釈をしたら、

「あら、こんにちは。お暑いですねえ。つらいですねえ」

 ご婦人が私に優しい表情で応じてくださいました。別に私の更年期の状態を見抜いたわけではないと思います。

 単なる時節のご挨拶をしてくださったのだとは思ったのですが、そう言われた途端、私はグワーッと泣き出したのです。シクシクではなく、グワーッ。まるでマリア様の前で、身の上に起こった災難を吐露してなぐさめられた愚かなる者のように。

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