夜な夜なマンガに夢中になる大人が急増する中、2022年に誕生した「CREA夜ふかしマンガ大賞」。眠りにつく前の自分だけのひとときに、ページをめくりながら癒され、息を呑み、泣いて笑って――。第5回となる今年も、名作が揃いました!

 特別選考委員による座談会で共感の声が集まり、第1位に輝いたのは、コンプレックスを抱える主人公が、出会いと気づきの中で変化していく『林檎の国のジョナ』(松虫あられ著、双葉社)。大賞受賞を記念して、松虫先生にお話を伺いました。

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「かわいい服」×「ド田舎」。好奇心と葛藤から生まれた物語

――このたびは「CREA夜ふかしマンガ大賞2026」第1位おめでとうございます。

松虫 大賞をいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!

――主人公のジョナをはじめ語りたくなるキャラクターばかりで、特別選考委員の皆さんが参加した座談会でも非常に盛り上がりました。まずは、作品が生まれたきっかけを教えてください。

松虫 まず、私が服が好きなので、服の話にしようかと。考えているうちに、かわいい服、ちょっと派手な服が好きな女の子がド田舎にいたらおもしろいんじゃないかと思いつきました。

――舞台を青森に選んだのは?

松虫 夫の実家が青森で……実家まわりがまさにイメージぴったりだったんです。前から青森を描いてみたいと思っていたので、ちょうどよかったということもあります。

 それからもうひとつ。立ち上げのころ、私が摂食障害のようなものに悩んでいた時期でもあって「自分を満たすとは?」ということに関心がありました。それで作品のテーマを「満たされないことと向き合うにはどうすればいいか」というものにしようと思い、描き始めました。

――「かわいい服」「田舎」「満たされないことと向き合う」。こうしたキーワードが最初にあったんですね。

松虫 はい。いくつかの要素に自分の境遇などを重ねたりして、できていった感じです。

――タイトルになっている「林檎の国」の風景は、印象深いものだったのでしょうか。

松虫 夫の実家のまわりが林檎の農家ばかりで。私の住んでいる県では、田舎というと田んぼに囲まれているイメージなので、初めて見たときは印象的でしたね。寒い中で、空気が澄んでいる感じも心地いいなと思いました。

――その空気感、しっかり画面に表れています! ジョナが体験しているように、環境が変わるとものの見え方や感じ方が変わってきそうですね。

松虫 私も田舎に住んでいますが……同じ田舎でも、地域が違うと人の感じもまったく違います。習慣など細かいところでもさまざまな違いがありますし、「なんでこういう文化が生まれたんだろう」と、気になります。マニアックな好奇心を刺激されますね。

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