◆発表! CREA夜ふかしマンガ大賞2026

 夜な夜なマンガに夢中になる大人が急増する中、2022年に誕生した「CREA夜ふかしマンガ大賞」。

 眠りにつく前の自分だけのひとときに、ページをめくりながら癒され、息を呑み、泣いて笑って――。日常のあれこれを忘れさせ、新しい世界に連れ出してくれる、今年もそんな名作が揃いました!

 今回は宇垣美里さん、つづ井さん、ニッチェの江上敬子さん、近藤くみこさんを特別選考委員としてお迎えしました。特集にちなみ、今年のテーマは「人生に効く!」。事前に作品を推薦いただき、編集部とともにベスト10を選出しました。

ノミネート作品一覧(50音順)

『悪魔二世』志波 由紀 KADOKAWA
『あたらしいともだち かわじろう短編集』かわじろう マガジンハウス
『ウシミツガオ』板垣巴留 秋田書店
『歌舞伎町カラオケ店員としくにさん』竹内 佐千子 講談社
『かみちゃんがいればマル』古田青葉 KADOKAWA
『君にかわいいと叫びたい』ハッピーゼリーポンチ KADOKAWA
『午前5時のレコード』廾之 KADOKAWA
『それ以外の星たち』原夏見 双葉社
『たいていのことはめんどくさい』六多いくみ 文藝春秋
『誰そ彼のひと』藤沢もやし 講談社
『鶴子はまだ四十五だから!』邑咲奇 小学館
『友達だった人 絹田 みや作品集』絹田 みや 光文社
『ドラゴンの胃でおやすみ』西村隆 作画/大橋ユウ 原作 講談社
『バカ女26時』遠野めざ 原作/彩乃浦助 作画 集英社
『バッドベイビーは泣かない』鳥飼茜 講談社
『復讐が足りない』冬野梅子 講談社
『ふたりバス』豊林サカネ 小学館
『ふつうの女の子』蒼井まもる シュークリーム
『文ゆかば』西原梨花 小学館
『林檎の国のジョナ』松虫あられ 双葉社
『ローワライ』雪野朝哉 講談社

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◆1位『林檎の国のジョナ』松虫あられ/双葉社

あらすじ

加藤アリス(通称・ジョナ)はアパレルショップで働く25歳。コンプレックスの太めな体型を職場の先輩や母親に突かれ、それを気にする自分を嫌悪している。そんな折、青森に住む祖母から送られた箱いっぱいの林檎に心を動かされ、ジョナは祖母の元に身を寄せた。祖母の家に住む林檎農家の青年・正市との出会い、教員という職を通し、新たな気づきが訪れていく。

――では、1位の『林檎の国のジョナ』から語っていきましょう。

つづ井 ヒロインの通称「ジョナ」こと加藤アリスは太めの体型にコンプレックスを抱えていて。実家を離れて祖母の住む青森へ飛び出し、出会いと気づきの中で変化していく物語です。

江上 体型コンプレックスに触れているので、私のマンガだなぁと思っちゃう。

つづ井 一方で、美しく生まれた人が美しい人としか見られない苦しみも描いているのが秀逸です。林檎農家の正市くんはカッコ良すぎるがゆえに、人にちゃんと接してもらえない。

宇垣 おこがましいようですが、私も「顔で得してるでしょ」って言われることがあるので、そっちもわかるんですよね。

つづ井 ですよね!? 私、読んでいて宇垣さんのことを思い浮かべたもの。この作品を読むことで自分が救われたり、誰かしらの顔を思い浮かべてやさしくなれるんじゃないでしょうか。

江上 そう。年をとって、自分とは違う立ち位置の人の気持ちもわかるようになりましたね。恵まれているように見える人にもいろいろあるんだろうって。みんな、それぞれの苦しみを抱えながら頑張って生きてるんだなと。

――ジョナは元アパレル店員ですが、青森では小学校の教員として働いています。服装規定はないのに、男性教諭にかわいいファッションをとがめられるエピソードはネットでも話題になりました。

江上 ど田舎の声がデカいだけで力を得ている男性の典型ですね。正しいことを言っているふうでめちゃくちゃ偏見の持ち主。その描き方がうまい!

宇垣 リアリティがあります。でも、そんな人に対してもジョナはまっすぐで、応援したくなっちゃいます。

江上 都会で人目を気にしつつオシャレしていたジョナより、今の方が輝いてる。

つづ井 誰かが決めた多数派の「普通」からあぶれがちな人にやさしい目線を注ぎつつ、勇気を与えてくれます。

江上 この作品の中ではお母さんの存在も大きいですよね。娘に呪いをかけるタイプの母親。

つづ井 母娘の関係、ルッキズム、さらに特別支援教育など難しく重いテーマをはらんでいて、いろいろなことを教えてくれる作品です。どう物語が進んでいくのかとても楽しみです。

»【マンガ】『林檎の国のジョナ』第1話を試し読みする

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。