◆3位『あたらしいともだち かわじろう短編集』かわじろう/マガジンハウス

あらすじ

注目の俊英による第一作品集。「かえちゃんの新しい友達」の主人公は転校先の学校で、いきなり「悪いですが皆さんのことに一ミリも興味がない」と自己紹介! かつての親友以上にわかりあえる友達なんかできるわけがないという思いからの言葉だったが……。自分を貫こうとする感情のみずみずしさ、ものごとの真理に迫るような珠玉の短編10作を収録。

――3位『あたらしいともだち』はデビュー単行本にして、すごい完成度です。

宇垣 今年、手塚治虫文化賞短編賞を受賞されましたね。

つづ井 どの作品もサラリと読めてスッと心に入ってくる感じ。シンプルな線とセリフで人間の繊細な心の動きが描写されていて、何回も読み返したくなります。引っかかる部分が人によって違うかも。私は特に「半魚人の頃」が好き。

宇垣 思春期の男の子が、自分のことを気持ち悪いと思っていて、クラスの好きな女の子に話しかけられないっていうお話ですね。

つづ井 グッときます。人生の中のほんの一瞬を……当人はスローモーションみたいに感じたであろうシーンをマンガにしているというか。

宇垣 キラキラしているだけじゃない青春時代を切り取って。心が通じ合うちょっとした瞬間を、よくこんなに鮮明に描き出せるなぁと。

近藤 余白の使い方とか、表現の仕方からにじみ出るものがありますね。紙の単行本でじっくり読むのが似合う気がします。

つづ井 全部かわいくて、すべて一枚絵のイラストみたい。この絵柄、絵本のような雰囲気もあいまってかなりリアルなことを描いていても寓話っぽく読める。そこが新鮮に感じられます。

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CREA 2026年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。