CREA Traveller 2026 秋号は「ドイツ」特集。ベルリンのダイナミックな新旧のアートシーン、ドレスデンのバロック建築に彩られた光景、ミュンヘンのバイエルン王国の栄華が残る宮殿文化など、ドイツには“美の物語”が至るところに紡がれている。クレアトラベラー創刊以来初となるドイツ特集は、この国の様々な表情を切り取った。

CREA Traveller 2026 秋号

ドイツ 愛しき物語

特別定価 1,800円

 ベルリンの中心にあるシュプレー川の中州は5つの博物館が連なり「博物館島」と呼ばれるエリア。博物館がすべて揃うのに100年余を要したが、国民の文化水準の向上のために一帯を“芸術文化の聖域”とするのはプロイセン王家の悲願だった。その意図と輝きは今も色褪せない。


時間と文明の雄大なスケールに没入

文明とそのルーツへの愛着が溢れんばかりの新博物館

 旧ナショナルギャラリーこと国立旧絵画美術館を堪能した後は、余韻とともに前庭から柱廊を抜け、「6番目の建物」と呼ばれるジェームス・サイモン・ギャラリー(現ビジター・センターに相当)をくぐって、新博物館へ向かおう。

 建物壁の補修跡に見られる新旧の石のコントラストや、新旧それぞれの回廊を繋ぐ柱や影の自然なリズムに、2000年代に修復を担当した建築家、デイヴィッド・チッパーフィールドの鮮やかなお手並を見い出せるはずだ。

 ここの見どころは、紀元前数千年のエジプトや中近東、そして中世ヨーロッパまで、古い文明にルーツを持つ膨大なオブジェだ。

 古代メソポタミアが天体観測と暦を駆使して作り上げた12星座の石板は、時間の起源に思いを馳せさせる。またギリシャの彫刻レリーフによく見られる「世界の秩序」のモチーフなど、その形成過程をも解説されている。

 だがハイライトは最上階奥、ツタンカーメンの継母といわれるネフェルティティの石灰岩彫刻だ。先ほど通って来たギャラリーがその名にちなむ、実在のジェームス・サイモン氏の後援で、20世紀初頭にドイツが行ったエジプト調査発掘からもたらされた。

 ネフェルティティは紀元前14世紀、太陽神への絶対帰依を説いたイクナートンの妻。古代エジプトで名うてのパワーカップルで、かつクレオパトラ以前に美女の代名詞だったと伝えられる。

 さらに、20世紀初頭に整備されたペルガモンとボーデの両博物館が位置する、島の最北端まで来れば、博物館島巡りはひとまずコンプリートする。芸術に満たされた特別な時間。ベルリン・テレビ塔を背景に、外からの眺めも有数の美しさを誇る心に刻まれる博物館群であることは間違いない。

Neues Museum(新博物館)

所在地 James-Simon-Galerie, Bodestraße, 10178 Berlin
電話番号 030 266424242
開館時間 10:00~18:00
定休日 月曜
料金 14ユーロ
https://www.smb.museum/museen-einrichtungen/neues-museum/home/

CREA Traveller 2026年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。