近年、健康増進に大きな役割を果たすと注目される「プロバイオティクス」。内科医の奥田昌子さんは「健康法にも人種差がある」と指摘し、欧米人と日本人の腸内環境の違いについて最新データをもとに解説する。
奥田さんの最新刊『最新 欧米人とはこんなに違った 日本人の「体質」 科学が示す、人種と病気の新常識』より一部を抜粋してご紹介。
» 【前篇を読む】「グルテンフリーで糖尿病に…」「発祥の地・米国でも疑問視」最新データが示す、体質の人種差《日本人、こんな健康法は意味がない》
ヨーグルトで腸内環境を整えるべき?
腸内細菌は総数100兆個にのぼり、そのうち善玉菌が20~30%、数にして20兆~30兆個を占めています。善玉菌にはさまざまな健康効果があるため、生きた状態で摂取しようとするプロバイオティクスという健康法が生まれました。プロバイオティクス食品の代表がヨーグルトです。
けれども、ここにはいくつか問題があります。まず、ヨーグルトには善玉菌がどれだけ入っているのでしょうか。ヨーグルトは正式には「はっ酵乳」と言い、厚生労働省は「製品1mlあたり、乳酸菌または酵母が1000万個以上入っていること」という基準を設けています。したがって、ヨーグルトをカップ1杯、200ml摂取すれば、200ml×1000万個で、20億個以上が体に入ります。
ちょっと聞くとすごい数ですが、思い出してください。人の腸には善玉菌がもともと25兆個ほどすんでいます。そこに20億個追加したところで、これによって増える善玉菌はわずか0・008%です。仮に菌が10倍多く入っていたとしても、「とくに機能の高い菌」を使っていたとしても、これでは少なすぎるのです。
それより根本的な問題は、口から摂取した善玉菌は、生きて腸に届いても腸に定着できないということです。専門用語で通過菌と呼ばれるとおり、早ければ2日、長くても1週間で体から出て行ってしまいます。
また、ヨーグルトには遅延型の食物アレルギーを起こしやすいという欠点もあります。食物アレルギーにはいくつか種類があり、遅延型と呼ばれるタイプはヨーグルトなどの乳製品が原因になりやすいとされ、頻繁に食べると発症率が上がります。けれども、食べて数時間から数日後に症状が出現するために、食べている人は、ヨーグルトのせいで体調が悪くなっていることになかなか気づきません。
それなら、どうやって腸をきれいにしたらいいのかと不安になってしまうかもしれませんが、じつは日本人は腸内環境についてそれほど心配しなくてよさそうです。
