CASUCAのテーマは「傷の輝き」

安野 小泉さんは、「前作で使っていたネックレスに重ね着けできるようなアイテムを作ったら、以前のものを持っているお客さんも嬉しくなるだろうし、持っていないお客さんなら、両方着けてみたくなるんじゃない?」って。

近田 キョンちゃん、商売上手だねえ!

安野 そう、自分でもそう言ってる(笑)。根っからのプロデューサー体質なんですよ。フジテレビと一緒にこのジュエリーを盛り上げようってことで、テレビ局の公式オンラインショップでも取り扱うようにしてくれました。彼女には、少しでも番組制作にみんなが参加するような感じがいいのではっていう気持ちがあったんでしょう。そうやって、関係者みんなが幸せを感じるように取り計らってくれる。

近田 俳優の枠を超えてるよね。

安野 すごいでしょ! この恩は、絶対に忘れません。

近田 CASUCAというブランドには、何かコンセプトのようなものってあるの?

安野 「傷の輝き」。新品の美しさよりも、傷を負って輝くものの美しさ、そのことで人にも優しくなれる。そんな思い、大事にしたい。だから、CASUCAのジュエリーには、ちょっとタッチを加えたりしてるんですよ。

 実は、名前を探しているときに、「CASUCA」というスペイン語に巡りあったんです。それが「あばら家」という意味で。そういえば、あばら家といえば子どもの頃に宝物を隠していた場所だなって。私の思い描く「傷に輝きに」ぴったりだと思って名付けました。

近田 こうやって話を聞いてみると、安野もいろいろと傷を負ってるもんね(笑)。

安野 ここのところ、ピカピカした若い子の肌よりも、年季の入った肌の方に、だんだん魅力を感じるようになってきて。

近田 分かるよ。そっちの方がエロティックだもん。人生経験を積んだ人の方が、色気があることは確かだよ。

安野 自然なエイジングに価値を見出す。日本の文化もそんな風に変わってくれればいいのになと祈っています。

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安野ともこ(やすの・ともこ)

1959年、埼玉県生まれ。高校卒業後、西武百貨店勤務を経て、こぐれひでこ氏が主宰するアパレルブランド「2CV」に入社。同社解散後、モデルやシンガーとして活動。以降、フリーのコラムニスト、ライター、プランナーなどを務め、小泉今日子との出会いをきっかけに、スタイリストに転身する。1994年には、スタイリスト事務所「CORAZON」を設立し、衣装デザインにも進出する。2007年、ジュエリーブランド「CASUCA」を立ち上げ、現在、目黒で実店舗「CASUCA HISTORIA」を展開。6月7日(日)から上演される「PARCO PRODUCE 2026 カッコーの巣の上で」では衣装を担当。
Instagram  @yasunotomoko

近田春夫(ちかだ・はるお)

1951年東京都世田谷区出身。慶應義塾大学文学部中退。75年に近田春夫&ハルヲフォンとしてデビュー。その後、ロック、ヒップホップ、トランスなど、最先端のジャンルで創作を続ける。文筆家としては、「週刊文春」誌上でJポップ時評「考えるヒット」を24年にわたって連載した。著書に、『調子悪くてあたりまえ 近田春夫自伝』(リトルモア)、『筒美京平 大ヒットメーカーの秘密』『グループサウンズ』(文春新書)などがある。最新刊は、半世紀を超えるキャリアを総覧する『未体験白書』(シンコーミュージック・エンタテイメント)。
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