CREA Traveller 2026 春号は「アート旅」特集。花や鳥、海岸線――。自然を愛し、光を追い続けた画家クロード・モネ没後100年の節目に、“モネのまなざし”を求めて彼が過ごしたフランス・ノルマンディ地方を巡る。そしてフランスと日本のアートスポットを訪ね歩き、芸術に導かれる感性の旅路へ。

CREA Traveller 2026 春号
モネの愛した光を辿る
特別定価 1,800円
セーヌ左岸の河口の古い街、それがオンフルール。20代半ばのモネはこの街の、あるオーベルジュで、他の画家らと交わり、観察眼を養った。その宿は今日もホテルとして、扉を開けている。
画家たちに愛されたオンフルール
オンフルールの由来は「オンフロイ」といわれ、オナンというヴァイキングの首領が見つけた河口、の意味だとか。今日では人口6600人に対して年間に訪れる観光客数は520万人と、北仏でも指折りの観光地だ。
往時の農場はオーベルジュにこの街が人々を惹きつける理由
昔からオンフルールは概して3つの地区で語られる。
代々のエスタブリッシュメント層が住んできた聖レオナール教会の周りと、漁師や労働者の街にしてフランス最古の木造建築である聖カトリーヌ教会周辺の地区、そしてアンリ4世の時代から商業港として発達したヴュー・バッサン地区だ。
若き日のモネが、パリの画家仲間らと連れ立ってひと夏以上の滞在を過ごしたラ・フェルム・サン・シメオンは、聖カトリーヌ教会の裏手から少し丘を登ったところ、控えめにいって当時なら辺鄙な場所にある。
ここでル・アーヴル時代の師、ウジェーヌ・ブーダンとも再会している。
2026年の印象派フェスティバルで日本のアーティスト中谷芙二子氏が、霧の彫刻のインスタレーションを展開するのも、このホテルだ。
今や5ツ星ホテルとなったかつてのオーベルジュは、絵画のアトリエを開くなど、当時の雰囲気を尊重して改装されたことが見てとれる。
モネの絵に描かれた、木組みと漆喰の簡素な外壁とノルマンディ特有の茅葺き屋根の田舎家は、今では気のおけないビストロとなっている。
港の周りだけでなく散歩がてら、気軽に訪れてみたい。
ラ・フェルム・サン・シメオン(La Ferme Saint Siméon)
アートと伝統のホスピタリティ
若き日のモネが画家仲間らと切磋琢磨した雰囲気をリュクスの下に追体験できる5ツ星ホテル。時間帯ごとに貸切り可能なスパ&ジャグジーや、ガイダンス付きの写生アトリエ・プログラムも楽しめる。
所在地 20 Rue Adolphe Marais Honfleur
電話番号 02 31 81 78 00
客室数 35
料金 221ユーロ~(1室2名利用)
https://www.fermesaintsimeon.fr/
ウジェーヌ・ブーダン美術館(Musée Eugène-Boudin)
初期印象派の胎動を伝える
展示室を改装して2026年2月に再オープンしたばかり。必見は、モネの署名が入ったブーダン作品《聖カトリーヌ教会の鐘楼》。生前、互いの作品をしばしば交換していたという二人の親交の深さをうかがわせる。
所在地 Rue de l’Homme de bois Honfleur
電話番号 02 31 89 54 00
営業時間 10時~12時(7/1~8/31間~13時)、14時~18時(10/1~3/31間~17時30分)
定休日 火曜、1/1、5/1、7/14、12/25
料金 9ユーロ
https://musees-honfleur.fr/musee-eugene-boudin.html
CREA Traveller 2026年春号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。
