人生って魂を磨く修行だと思っている

――今後、こういう俳優になりたい。こうなりたいというビジョンはありますか?

 よく聞かれる質問なのですが、実はあまりなくて(笑)。昔は「主演ドラマをやりたい」とか思っていたんですが、それが目指すべきゴールではないなと思うようになりました。やっぱり一つ一つの仕事を納得できることが一番ですし、無理をせず、自分のペースでやれたらいいなと思います。

 『シッダールタ』の物語じゃないけれど、人生って魂を磨く修行だと僕は思っているんです。芸能界という厳しい世界で、自分の本質を磨いているのではないかなと。

――杉野さんの俳優人生が舞台『シッダールタ』を経て、大きく飛躍しそうですね。

 そうなのかな? 不要なものは手放して、お芝居に対して、明るいものを見出せたらいいなという気持ちはあります。この作品が自分にとってどういうものかは、数年経ってみないとわからないと思いますが、また、2、3年後にインタビューしていただけたら嬉しいです!

杉野遥亮(すぎの・ようすけ)

1995年9月18日生まれ。2017年、映画「キセキ-あの日のソビトー」で俳優デビュー。主な出演作品に、ドラマ「恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~」「ユニコーンに乗って」「僕の姉ちゃん」、大河ドラマ「どうする家康」、「罠の戦争」「ばらかもん」「マウンテンドクター」「磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~」「オクラ~迷宮入り事件捜査~」、「永遠についての証明」、映画『東京リベンジャーズ』シリーズ、『風の奏の君へ』『ストロベリームーン』、舞台『夜への長い旅路』など。

舞台『シッダールタ』

ひとりの男(草彅剛)が、世界の混沌の中で自身を見失い佇んでいる。友人のデーミアン(鈴木仁)は行動を促すが、彼は歩き出す道を見出せない。同僚のエヴァ(瀧内公美)の支えを受けながら思索の森に足を踏み入れ、やがて彼はシッダールタとなる。 古代インドに生まれたシッダールタ(草彅剛)は、最高位のバラモン階級の子として生きている。その生活に疑問を抱き、より深い叡智を求めて、家を飛び出す。シッダールタについてきたのは、彼に魅了されている青年ゴーヴィンダ(杉野遥亮)ただひとりだった。 しかしシッダールタは、修行の意味に疑問を抱き、修行の道を突き進むゴーヴィンダとも袂を分かち、俗世に下野する。やがてシッダールタは、美貌と知性と教養で確固たる地位を築いた高級娼婦・カマラー(瀧内公美)と出会い、性愛による快楽を体験する。さらには商売で富を得ることで、所有欲を満たす経験を覚えるが、それでも本質が満たされることはなく苦悩する。やがて彼は川で渡し守のヴァズデーヴァ(ノゾエ征爾)と出会い、彼の世界観に導かれていく。川の流れの中、シッダールタは別れたカマラー、自らの息子(中沢元紀)、かつて袂を分かったゴーヴィンダらと再会を果たし、自らにさらに深く問いかける。 出会いと別れを繰り返し、この世界に絶望し、人生に迷っていたシッダールタが、悟りの境地にたどり着いた時に見えた景色とは―。その音とは―。

【東京公演】2025年11月15日(土)~12月27日(土) @世田谷パブリックシアター
【兵庫公演】2026年1月10日(土)~1月18日(日) @兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール

衣装クレジット

ニット 320,100円、パンツ 225,500円、シューズ 181,500円/以上ボッテガ・ヴェネタ(ボッテガ・ヴェネタ ジャパン)