「ママ、もったいないよ」心に残った息子たちの言葉

近田 ゴールデングローブ賞の授賞式の中継じゃ、着物姿のクルミさんは相当目立ってたよね。

浅野 彼女は努力家だから、着付けも勉強したし、着物も自分で選んだのよ。

近田 モデルという華やかな職業からすると、意外な素顔だよ。モデルといえば、順子さんも、最近、ファッションモデルとしての活動を積極的に展開してるよね。

浅野 はいはい。ロエベ、ケイタマルヤマ、イッセイミヤケなどのブランドから、お仕事をいただいております。

近田 うわあ、錚々たる有名ブランドばっかりじゃん。

浅野 そういう洋服には上手くこの体が収まらなかったりして、恥ずかしくなることも多いんだけどさ(笑)。

近田 モデルとしての活動に関しては、誰かマネジメントしてくれる人がいるの?

浅野 私が絵を描き始めたころからずっと注目してくれている若いクリエイターの男性がいて、その彼が、モデルのエージェントを買って出てくれてるのよ。私、ギャラの交渉とか、そういう細かいこと全然できないから、本当に助かってる。

近田 順子さんは、画家としても、絵に値段が付けられないって言ってたもんね。

浅野 そうそう(笑)。今後の夢は、同年代のお洒落な女性を集めて、ファッションショーを開くことなのよ。

近田 いいねえ。そういった形で、ますます順子さんの存在が知られるようになるのなら、本当にうれしい限りですよ。

浅野 1、2年前かな、息子たちに「ママ、もったいないよ」って言われたのよね。もっともっと華やかな場所で活躍できたはずなのにって意味らしいんだけど。

近田 その言葉に全面的に同意するよ。だって俺、順子さんをさらに日の当たるところに引っ張り出したくって、この対談企画したんだもん(笑)。

浅野 長男からは、「ママはいつも最初だけだね」とも指摘された。確かに私、そういうとこあんのよ。何を始めても、夢中になるのは出だしだけで、興味を失ったら、すぐに別の方向行っちゃうから。

近田 えー、今までつらつらとお話をうかがってまいりまして、その性向に関しましては重々承知しておる次第です(笑)。

浅野 息子たちから投げかけられたその二つの言葉が胸に響いてさ、画家としてもモデルとしても頑張ってるわけよ。今になって、チャンスが巡ってきたんだとするなら、楽しんでやれたらいいなあって。だって、もう75歳なんだもん。体が動くのって、あとせいぜい10年じゃん。

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