山本侑里さんが担当した、イチオシ作品は?

◆『海が走るエンドロール』たらちねジョン/秋田書店

 夫に先立たれた茅野うみ子は、数十年ぶりに立ち寄った映画館で美大生の青年と出会う。彼の言葉がきっかけで「映画が撮りたい」という自分の本心に気付き、新たな人生が動き出す。

「CREA読者さんは、おいしいものからカルチャーまで、アンテナを広く張っている方が多い印象があります(「贈り物バイブル」大好きです)。いろいろ興味があるということは、新しいことに挑戦したい方も多いのでは? と思い、本作を推薦させていただきました。

 65歳のうみ子さんが美大に通い映画監督を目指す物語は、『何をするにも、遅くない』を示してくれます。そんな私も、ヒップホップを踊れるようになりたいと、ダンススクールに通い始めたところです。また、2026年に最終9巻が出る予定なので、夜ふかしして一気読みするのにちょうどいいボリュームです。ぜひ!」

人生で思わず夜ふかしして読んでしまったマンガは?

◆『大奥』よしながふみ/白泉社

「つい先日、とあるダンス&ボーカルグループにはまりワールドツアーのために何度か飛行機に乗る機会がありました。初LCC利用だったのですが『あ、そうか、LCCは座席で映画を観られるサービスはないんだった……』と、手持ち無沙汰に。深夜発だったので寝て過ごそうと思いましたが、そう簡単には寝付けず。

 そんな時、電子書店でDLしてあった『大奥』全巻の存在に気づき、読み始めました。何巻まで読んでいたのか忘れてしまったので、最初から読み返すことに。寝る間も惜しんで、読みふけってしまいました。帰りも深夜発という弾丸旅だったのですが、続きが読みたくて、ほとんど寝ませんでした。結局2回の旅(往復4回の読書チャンスです)で読み終えることができました。ずっと泣きっぱなしでしたね……。体力的にはきつかったものの、一気読みできたのは贅沢な時間でした」

山本侑里さんの「マンガを読むときのマイルール」

「ご質問をいただいて、マイルールやルーティンについてはじめて考えたのですが、マンガを読むときは『すっぴん+部屋着+ベッド』で読んでいることに気がつきました。化粧を落として、リラックスした状態で、ベッドでゴロゴロしながら読むのが好きです。マンガには気の置けない友達のような存在でいてほしい!」

山本侑里/マンガ編集者

静岡県出身。秋田書店「月刊プリンセス」「プチプリンセス」「カチCOMI」「BaLmy」編集長。担当作は『海が走るエンドロール』『冥王の柘榴』など。過去の担当作に『いつか死ぬなら絵を売ってから』『薔薇王の葬列』『同棲ヤンキー赤松セブン』ほか。丸木戸マキの新作BL『グッドナイト・ルーティン』好評発売中。

CREA夜ふかしマンガ大賞とは…

マンガを愛する選考委員とCREA編集部の推薦により選ばれた「思わず夜ふかしして読みたくなる」そして、「いま、CREA読者に本当におすすめしたい」作品に贈る賞。今年は初めて、15名のマンガ編集者の皆さんに選考委員をお願いしました。2024年7月~25年8月に単行本の新刊が発売された(ただし、合計5巻以内)、もしくは、雑誌などに最新話が発表された作品から選出されます(※選考委員の担当作は推薦不可、現在所属する出版社が発行する媒体の掲載作品は1作まで推薦可)。その他、マンガ好きの著名人の方々が選ぶ「個人賞」もあります。

Column

「CREA夜ふかしマンガ大賞2025」選考委員アンケート