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◆発表! CREA夜ふかしマンガ大賞2025

 夜な夜なマンガに夢中になる大人が急増する中、2022年に誕生した「CREA夜ふかしマンガ大賞」。眠りにつく前の自分だけのひとときに、ページをめくりながら癒され、息を呑み、泣いて笑って――。日常のあれこれを忘れさせ、新しい世界に連れ出してくれる、今年もそんな名作が揃いました! ここでは6位~10位を発表します。

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◆6位『おかえり水平線』渡部大羊/集英社

 舞台は海辺の田舎町。銭湯を営む祖父と二人暮らしの高校生・遼馬がある日開店準備をしていると、いきなり父の隠し子だという同い年の少年・玲臣(れお)が現れて――。遼馬はとまどいつつも行き場のない玲臣を受け入れることにし、同居生活が始まります。玲臣は都会育ちのイケメンで、学校では即人気者に。銭湯の仕事が好きでクラスの面々とは交わらない遼馬とは対照的なキャラクターです。

 複雑な関係に加え、性質は真逆。そんな二人を結んだのは初対面の日に銭湯の大きなお風呂に浸かり、掃除をしたことかもしれません。それは訪れるすべての人を受け入れる銭湯という「居場所」のマジックなのでしょうか。ピュアで瑞々しい言葉がほとばしる極上のボーイフッド・ストーリー。

◆キャラクター全員が魅力的な作品でした。あそこに住んで、常連のじじいの一人になりたい。(ミキサー編集室 編集長/豊田夢太郎さん)

2025.10.15(水)
文=粟生こずえ
写真=平松市聖