大ジャンプ後に背中から着水するクジラを観察

 かつては捕鯨基地だったラハイナ、今は転じて保護活動に積極的に取り組むように。そして毎年12~5月は南氷洋からザトウクジラの親子が訪れ、街はホエールウォッチングで活気づきます。

12~5月にマウイ島へ訪れるザトウクジラ。親子で仲良く泳ぐ姿も。(C) Hawaii Tourism Authority (HTA) / Tor Johnson

 大ジャンプ後に背中から着水したり、尾で水面を叩いたり、潮を大量に吹きあげたり、親子で寄り添って泳いだり……。大海で自由に遊ぶ地球最大の生物の姿は、神々しくも感じられます。ウォッチングボートでは、そんなクジラたちの行動や生態をガイドが解説。知識が深まれば、より興味が湧いてきたりもします。

マウイ島沖に浮かぶ、クロワッサンのような形をしたモロキニ島。透明度が高く、魚種も豊富で、スノーケリングやダイビングの人気スポット。(C) Hawaii Tourism Authority (HTA) / Ron Dahlquist

 この時期にダイビングをした際、海中でクジラの歌を聞いたことがあります。さすがに姿までは見られませんでしたが、少し哀愁を帯びたように感じる声が、どこからともなく海中に響くのです。

 これを“鳴き声”ではなく、“歌”と呼ぶのは、繰り返すフレーズがあり、地域によってそれが異なるから。しかも、そのフレーズは時が経つにつれて変化し、ヒット曲のように流行りすたりもあるそう。昨年と今年の違いはさすがに研究者じゃないと、わからないでしょうが……。

19世紀後半以降、サトウキビ産業でにぎわい、1970年代頃からサーファーやアーティストが移り住むようになったパイアの町。(C) Hawaii Tourism Authority (HTA) / Tor Johnson
かわいいショップやカフェが並ぶパイア。(C)Hawaii Tourism Authority (HTA) / Tor Johnson

 ハワイのかつての首都にしてハワイ初の本格的リゾート地、そしてザトウクジラたちの遊び場、マウイ島。

 この島の人々の間では「マウイ・ノ・カ・オイ」という合言葉があります。これは「マウイ、最高!」という意味。暮らしている人々が自分たちの島を誇りに思えるのは、素晴らしいことですね。多くのツーリストを惹きつけるのは、そうした気風が理由なのかもしれません。

マウイ島
●アクセス オアフ島ホノルル国際空港から国内線で35~40分
●おすすめステイ先 ベストウエスタン・パイオニア・イン
URL http://www.pioneerinn-maui.com/

古関千恵子 (こせき ちえこ)
リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること1/5世紀あまり。世界各国のビーチを紹介する「世界のビーチガイド」で、日々ニュースを発信中。
「世界のビーチガイド」 http://www.world-beach-guide.com/

Column

古関千恵子の世界極楽ビーチ百景

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2016.02.06(土)
文・撮影=古関千恵子