日本では「エキストラバージン」の表示に規制はない
前回、オリーブオイルの品質を規制する国際機関はあるが、その決まりごとは機能せず、加盟国でも守られていない、ということをご紹介しました。オリーブオイルの格付けは、古くはギリシャ世界から存在した、と伝えられていますが、昔からオリーブオイルの「品質」への関心は高かった、ということでしょう。それは同時に、規格を決めては破られ、という歴史の繰り返しであり、オリーブオイルに関しては古くから品質偽装の歴史でもあったことを物語っています。
また、日本には、「エキストラバージン」表記に関する表示規制すらないので、仮に最高品質ではないものに「エキストラバージン」と表記されていても、ただちに「品質偽装」ということにはなりません。こうしたことが、より混乱に拍車をかけているようにも見えますが、少なくとも、生産国で規格が守られていなければ、日本でこれを法制化しても意味はないでしょう。
まあ、今さらできていないことを嘆いてばかりいても仕方ありません。
オリーブオイルは、きちんと規格基準をまもって作られていれば、高品質のエキストラバージンオリーブオイルを安心して楽しみ、またその素晴らしい風味と優れた健康機能を享受することができる、優れた食品であることに疑いはありませんし、そうした良心のある生産者は、幸いまだ世界に多く存在します。
次回は、いよいよ、こうした悲しい市場の現実がある中で、どうやってオリーブオイルを選んでいったらよいか? その選び方のポイントをお教えしたいと思います。
はたして、信頼に足る「ものさし」は何かあるのでしょうか?(第3回に続く)
多田俊哉(ただ としや)
日本オリーブオイルソムリエ協会 理事長。国際基督教大学及びトリニティカレッジ卒業。モルガン銀行、JPモルガン証券、大手食品商社を経て、大前研一氏主宰(株)大前・ビジネス・ディベロップメンツ設立に伴い執行役員として経営参画。2009年(社)日本オリーブオイルソムリエ協会を設立。代表理事・理事長。海外の主要オリーブオイルコンテスト審査員歴任。香川県オリーブオイル品評会審査員。日本初の国際オリーブオイルコンテスト「OLIVE JAPAN」(http//Olivejapan.com/)主催者であり、日本を代表するオリーブオイルの専門家として世界に知られる。オリーブオイルビジネスの不正を暴いた『エキストラバージンの嘘と真実』(トム・ミューラー著、日経BP社)で解説を執筆。
輸入ブランドの過半数は欠陥品!?
正しいオリーブオイルの見分け方教えます
2015.11.09(月)
文・撮影=多田俊哉(日本オリーブオイルソムリエ協会理事長)
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